韓国製洗濯機輸入規制、韓国政府が米国に対抗措置

 米政府が韓国製洗濯機の輸入規制に乗り出した一方で、韓国も公に対抗措置に出たことから、洗濯機をめぐる韓米の攻防が本格的に始まった。韓国の洗濯機メーカーは米政府の輸入規制を避けるため現地生産工場の稼動に本腰を入れ始めた。韓米自由貿易協定(FTA)改正交渉を前に、両国の神経戦が始まったという見方もある。

 韓国産業通商資源部(省に相当)は、米国の反ダンピング関税で韓国製洗濯機の対米輸出に年間7億1100万ドル(約790億円)相当の支障が出るものと算定、この金額と同じなるよう米国製品に関税を課す案を推進することにしたと14日、明らかにした。

 米国は2013年2月、サムスン電子とLG電子が韓国で製造・輸出した洗濯機にそれぞれ9.29%と13.2%の反ダンピング・相殺関税を課した。韓国政府はこれを受けて同年8月に「米国は韓国製洗濯機を標的に高い関税を課した」と世界貿易機関(WTO)に提訴、16年9月に勝訴した。米国は昨年12月26日までに反ダンピング関税調査方式是正などの措置を履行しなければならなかったが、何もしなかった。

 それどころか、米国はこのほど、韓国製洗濯機のせいで自国の洗濯機製造業が被害を受けているとしてセーフガード(緊急輸入制限措置)を動員、サムスン・LG電子製品に最高50%という高い関税を課す案を推進している。これに対して韓国政府は再びWTO勝訴を利用した報復をするということだ。ソウル大学のアン・ドックン教授は「韓米FTA改正交渉を進めている韓国としては、米国をけん制するカードとして利用できる」と話す。

 一方、サムスン電子は今月12日(現地時間)、米サウスカロライナ州ニューベリー郡に新たに建てられた生活家電工場で出荷式を行い、本格的な稼動に入った。サムスン電子は同工場で洗濯機を年間100万台生産する予定だ。2020年までに約3億8000万ドル(約422億円)を投資し、1000人を雇用する計画も明らかにした。この工場はドナルド・トランプ米国大統領が昨年2月、自身のツイッターに「サンキュー、サムスン」と書き込み、サムスンに現地投資をするよう圧力を加えた後に建てられたものだ。米国の保護貿易主義が本格化していることから、サムスン電子は昨年、現地工場建設を決め、当初は今年4-6月期だった完成目標時期も1月に繰り上げた。LG電子も米テネシー州モンゴメリー郡に年内完工を目標とする洗濯機工場を建設している。

金承範(キム・スンボム)記者
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