基地村:売春を助長、国の賠償責任認める=ソウル高裁

 裁判所が「基地村(在韓米軍基地周辺地域)の女性たちが米兵相手に行った売春を国が助長した」として、これに対する賠償責任を認めた。

 ソウル高裁民事第22部(イ・ボムギュン裁判長)は8日、いわゆる「基地村慰安婦」117人が国による損害賠償を求めた訴訟で、政府が強制収容された被害者らには700万ウォン(約70万円)ずつ、そのほかの被害者には300万ウォン(約30万円)ずつ、それぞれ支払うよう命じた。

 高裁は「過去の公文書などを見ると、『在韓米軍兵士の士気向上』や『外貨稼ぎ』などを理由に、全国的に基地村造成・管理が行われていたものと見られる。公務員たちがいわゆる『愛国教育』だとして営業方法を教育するなど、政府が積極的に売春をあおった」と判決理由を説明した。

 高裁はまた、「政府は、性病治療を理由に女性たちを強制隔離・収容するなど、当然守られるべき人権尊重義務に違反し、被害者たちの人格そのものを国家的目的達成のための手段とした」と指摘した。

 被害女性たちは「過去の政権は売春が行われやすいように基地村を造成・管理する一方で、売春の取り締まりはおろか、強制収容などにより身体的・精神的苦痛を負わせた」として2014年6月、1人当たり1000万ウォン(約100万円)の慰謝料を求める訴訟を起こしていた。

 そして昨年1月、一審は原告のうち違法に隔離・収容されたという被害が認められた57人に対してのみ500万ウォン(約50万円)の賠償責任を認めた。

 政府は当時、性病感染者に対する隔離・収容が整う(1977年8月)前から保険証所持検査だけを実施、その後、女性たちを収容所に連れて行く、いわゆる「討伐」などを行った。

 一審はしかし、「売春業従事を強要したり、これをあおろうとしたりしたわけではない」として、政府の基地村造成・管理、売春助長責任は認めなかった。だが、今回の二審ではこれを認めたものだ。二審はまた、隔離・収容についても「(収容の根拠が整った)時点とは関係なく、被害者らを医療診断なしに強制隔離・収容した後、無差別的に投薬した行為は違法である」として国の責任をより広く認めた。

 ただし、被害者たちの「国は基地村での売春を取り締っていなかった」という主張は、一・二審とも根拠が不足しているとして認めていない。

チョン・ジュニョン記者
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  • ▲1965年、京畿道東豆川市内にある在韓米軍基地村前の様子。写真=朝鮮DB

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