【社説】李明博元大統領個人の問題ではなく大統領制自体の欠陥だ

 今回の事件により大韓民国の歴代大統領による不祥事の中で、唯一例外だった李元大統領も悲劇に巻き込まれることになった。李承晩(イ・スンマン)大統領から朴正煕(パク・チョンヒ)、全斗煥、盧泰愚、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉、李明博、朴槿恵大統領に至るまで、韓国政府樹立後に大統領として実質的に政権を運営し権力を振るった人物は全て下野、弾劾、殺害、自殺、収監、さらには晩年に側近らの不正で満身創痍(そうい)とも言える立場に追い込まれた。世界を見回してもこのような国はおそらく見当たらないだろう。つまりこの問題は大統領経験者個人の問題として片付けられるものではなく、制度そのものに間違いなく欠陥があると言わざるを得ない。それがどういうものか、今や韓国国民の多くが理解しているはずだ。

 韓国の大統領は政策面では国会から強いけん制を受けるが、人事や検察権といった権力行使に関しては文字通り王のように振る舞うことができる。1%でも得票数が少なければ全てを失う野党は常に反対のための反対に没頭しており、政権を握ればその恨みを晴らすため恥も外聞もなく報復に乗り出す。この悪循環がネズミ車のように回転を続けるのが韓国におけるいわゆる「大統領無責任制」だ。一時は帝王的大統領制が国の発展に不可欠と考えられた時代もあったが、今ではそのマイナス面ばかりが目につくようになった。大統領経験者に対する仕打ちに終止符を打つには、大統領の権力を分散し、その権力を実質的にけん制することによって、韓国における政治を「生きるか死ぬか」の闘争ではなく協治の形で進められるようにする以外に、もはや方法はない。

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