【社説】4年経っても消えないセウォル号デマ、また政府があおるのか

 李洛淵(イ・ナギョン)首相は21日、全羅南道木浦新港で貨客船「セウォル号」沈没事故の遺族と面会した際、「セウォル号の船体をまっすぐに立てれば、新たな疑惑が洪水のようにあふれ出てくるだろう」と言った。この発言が物議を醸すと、首相室は「あらゆる疑惑を徹底的に究明するという意味に過ぎない」と釈明したが、首相がセウォル号デマをあおっているのでは、と誤解されても仕方がないだろう。

 李洛淵首相が口にした「疑惑」とは結局、セウォル号事故の原因に関することだ。「ドルイドキング」のような記事コメント操作団が流布してきたセウォル号をめぐるデマの代表例が潜水艦衝突説だ。潜水艦がセウォル号のように大きな船と衝突すれば、その潜水艦も沈没あるいは大破を逃れられないし、死傷者が出ることも避けられない。そうしたことをすべて隠し通せると信じているとしたら、正常な思考方式だとは到底思えない。セウォル号は上部・下部・右舷側がすべてあらわになっており、左舷側も引き揚げの過程ですべて調べたが特異な点はなかったと海洋水産部(省に相当)が明らかにしている。今、左舷側を下にして横たわっているセウォル号の船体をまっすぐ立てたところで、何か新事実が見つかると言えるだろうか。

 セウォル号は上部の違法増築やバラスト水の不足、不十分な貨物固定、操船ミスが複合的に重なって沈没した。これで沈没しなければ、それこそおかしなことだ。綿密な捜査・調査ですべてが明らかになった。それにもかかわらず、何か別の原因があるかのようにこだわるのは、セウォル号を政治的に利用しようという未練が断ち切れないためだ。旅行中に惨事に見舞われた人々を前に「ありがとう」と大統領が記帳したのと同様、犠牲者や遺族に言うべきことではない。首相なら、周りの人々が無責任にあおり立てても、「静かに調査結果を待とう」と落ち着くように言い聞かせるべきだ。

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