【社説】積弊清算1年、同じ過ちを繰り返す韓国大統領府

 韓国大統領府はこれまで1年間にわたる「積弊清算」の結果を発表し「多くの成果があった」と自画自賛した。現政権は積弊清算を100大国政課題の最初に置き、さらにその第1番目に「朴槿恵(パク・クンヘ)裁判」を掲げたが、今やそれも実現し、前政権の関係者をしらみつぶしに探し出しては検察に引き渡している。2人の大統領経験者も拘置所に送られ、前政権とその前の政権の関係者など110人が起訴された。ここ1年間は検察はもちろん、警察や国家情報院、監査院、国税庁、公正取引委員会などの権力機関は両政権関係者の摘発や処罰に総動員され、毎日のように家宅捜索、銀行口座の追跡、逮捕や身柄の拘束が行われた。しかしそれでも大統領府は「まだ課題は多い。気を引き締めて改めて取り組む」とコメントしている。

 問題は積弊清算を進めるはずの今の政府が自ら同じ積弊を積み上げているという事実だ。国定教科書を積弊としてこれをなくしたかと思えば、これまでにないほど左翼的な歪曲(わいきょく)教科書を作り上げようとしている。また国民年金の決定を覆しては外国ファンドからの攻撃を自ら招き、前政権の関係者による職権乱用を積弊としながら、自分たちは放送局の人事に前政権以上に露骨に介入している。前政権によるメディアの弾圧を批判しているが、今の政府は最初から「政府が発表した通り報道せよ」とする報道指針を出した。KBS放送の取締役に対しては法人カードの個人使用を理由に辞任に追い込みながら、旅客船「セウォル号」が沈没した当時カラオケで法人カードを使った人物を社長に任命した。

 政府が1株も保有していない企業の最高経営者を辞任に追い込んだことも、いつか職権乱用と見なされるだろう。自分たちが管轄する機関の資金で外遊した人物を金融監督院長とした程度はむしろ小さいことに見える。前政権が作成したブラックリストを積弊と批判しながら、自分たちは国定教科書の実務担当者に対する人事を取り消し、さらに外交官の公募ではある大学教授を保守団体に参加したことを理由に脱落させた。国家情報院によるネットでの世論捏造(ねつぞう)問題は1年以上にわたり再捜査を繰り返しながら、最近のドルイドキング事件からは顔を背けている。自分たちの仲間以外の人間には厳しい処罰を下し、自分たちの問題には寛大という傾向は過去のどの政権にもあったが、それでも今の政権ほど露骨だったことはない。野党が力を失えば自分たちの仲間内から何らかのけん制がなければならないが、高い支持率が続いていることから自分勝手にやってもよいと考えているようだ。

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