【コラム】金正恩は「北朝鮮のトウ小平」になれるか

 本当に金正恩はトウ小平が歩んだ道を歩もうとしているのか。1978年12月、トウ小平は改革開放論争が激しかった当時、「思想開放」が重要だという演説を行った。毛沢東の言葉には無条件で従うべきだという勢力を批判したものだ。特に政治的民主のため、「髪の毛を引っ張らず、帽子を被せず、棒きれで殴りもしない」=趙英男 (チョ・ヨンナム)著「トウ小平時代の中国」から引用=と主張した。文革当時のように、見解が異なるからといって迫害することはあってはならないという意味だ。むしろ「最も恐ろしいことはカラスやスズメの鳴き声まで聞こえないことだ」とも述べた。

 トウ小平が古い思想のくびきから解き放ってくれたおかげで実事求是精神が野火のように広がった。北朝鮮はどうか。思想開放どころか、金正恩の演説中に居眠りしただけで、高射砲で撃ち殺される国だ。金氏王朝の継承者である金正恩が祖父と父の過ちを1%でも認める可能性は低い。トウ小平は「赤(理念)」よりも「専(専門知識)」を重視した。これに対し、北朝鮮は数日前まで理論武装を繰り返し叫んでいる。米中央情報局(CIA)は、北朝鮮が1970年代に韓国との経済競争で早くも敗れた理由について、技術よりも理念に偏った教育システムのせいだと判断した。現在の北朝鮮の労働力がアフリカのレベルにすぎないとの分析が示されるのも、数十年にわたり「金氏語録」の暗記式教育に頼った結果だ。

 1970年代末、毎年数千人から数万人の中国の若者が生きる道を求め、香港へと脱出した。「鉄条網と見張り所を増やすべきだ」という主張が出たが、トウ小平は「中国経済が発展すれば、若者は香港に行く必要がなくなる」と語った。金正恩が昔のように鉄条網に囲まれた経済特区を推進したところで、住民の思想を縛り続ければ、絶対にトウ小平にはなれない。きょうは核と共に、さびついた理念の鉄条網まで全て放棄する決定を下してもらいたいと思う。

アン・ヨンヒョン論説委員

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