【萬物相】日の目を見ないまま閉鎖された北朝鮮人権財団事務所

 韓国統一部(省に相当、以下同じ)は昨日「今月末に北朝鮮人権財団の事務所を閉鎖する」と発表した。財団の発足が2年以上先送りされ、月6300万ウォン(約640万円)の事務所家賃が無駄になっているのがその理由だという。財団は2016年に北朝鮮人権法が成立した際に設立するはずだったが、理事の人選を巡って与野党が対立したため今も正式に発足できていない。

 統一部は「財団が発足すればただちに事務所を開設する」とコメントした。しかし北朝鮮の人権問題に対する今の政府の対応を見ていると、今後財団を設立する作業に真剣に取り組むとは思えない。韓国外交部でも北朝鮮人権大使のポストは文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後はずっと空席状態が続いている。国家人権委員会の北朝鮮人権担当の部署もその規模が大幅に縮小された。北朝鮮を刺激しないためだそうだ。

 米国の歴代大統領は北朝鮮の人権問題に大きな関心を払ってきた。北朝鮮の政治犯収容所の惨状を告発したビデオ映像を見たブッシュ大統領と出席者が全員涙を流したというエピソードも伝えられている。ただ最近は米国の大統領も交代し、北朝鮮に対する考え方も変わったようだ。あるテレビ番組で司会者がトランプ大統領に北朝鮮の人権問題について質問すると「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長はタフガイだ」「他の人間も悪いことをたくさんやった」などと述べた。「金正恩氏は殺人者ではないのか」との質問にも「彼が誰かは関心がない」と言った。「孤立無援」とはまさに今の北朝鮮住民が置かれた立場を表現する言葉だ。

アン・ヨンヒョン論説委員
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