【社説】核廃棄どころか遺骨返還さえ進展しない米朝交渉

 米国と北朝鮮は12日、板門店で米兵遺骨返還に向けた協議を行う予定だったが、北朝鮮側の代表が会場に姿を現さなかった。米国の担当者が北朝鮮に電話をかけたところ、北朝鮮側は突然「協議の格上げ」と「将官級会談の開催」を求めてきたという。このような形の外交上のやりとりが行われるとは予想もつかなかった。今回の遺骨返還は6月の米朝首脳会談の際に米国のトランプ大統領が要請し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がその場で快諾して合意文書にも記載された事案だ。トランプ大統領はこれを会談の大きな成果と見なし、米国は遺骨の引き渡しを受けるためすでに100個以上の木製棺を板門店に準備している。

 1カ月前にシンガポールで米朝の首脳が向かい合った時には、北朝鮮の核廃棄、米朝関係の正常化といった数々の懸案がすぐにでも解決されるかと思われた。しかしその合意文は信じられないほど内容がなく、その上直後の会見ではトランプ大統領の口から「韓米合同軍事演習は挑発的」「在韓米軍を撤収させたい」などの爆弾発言が飛び出した。北核廃棄とは関係ない遺骨返還もこの一連の過程で取り上げられた。

 信じられない状況はその後も続いた。首脳会談の翌週に予定されていた協議は3週間も遅れ今月6-7日にやっと行われた。ところが協議のため平壌に乗り込んだ米国のポンペオ国務長官は金正恩氏に会うことさえできなかった。ポンペオ長官は北朝鮮から冷たくあしらわれたにもかかわらず「協議はうまくいった」と口だけで成果を強調している。ポンペオ長官が平壌に滞在している間に金正恩氏はジャガイモ農場を視察していたという。米国メディアは「金正恩氏はポンペオ長官ではなくジャガイモと面会した」と報じた。北朝鮮はポンペオ長官が平壌をたった後になって「米国は強盗のような要求をしてきた」とする非難声明を発表した。それでもトランプ大統領は今も「北朝鮮との交渉は順調に進んでいる」と繰り返し主張するばかりだ。

 その上今回は遺骨返還交渉で北朝鮮側の担当者が来ないという信じられない事態が発生した。このような形の北朝鮮の駆け引きはおそらく今後も続くだろう。トランプ大統領は11月の中間選挙に向け全力投入しているため、北核問題では進展がなくとも進展があるかのように語るしかない。中国の後押しを確認した金正恩氏は強気だ。韓国政府は「終戦宣言」に先立ち、米朝の間で攻守が変わった今の異常な状況の真の実態をまずは正確に把握しなければならない。

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