救急搬送中の事故、隊員処罰の是非めぐり韓国ネットで論争

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 光州北部消防署に所属する救急車が今月2日、交差点で乗用車と衝突し、救急車に乗っていた90代の女性患者が死亡した。事故当時、救急車側の信号は赤だったが、救急車は非常灯をつけて交差点に進入していた。この事故で救急車を運転していた消防署員(36)が立件されたことがインターネット上で話題になっている。

 救急車には信号、速度に関する違反が適用されない。しかし、事故を起こし、全治3週間以上の被害者が出た場合には、交通事故処理特例法違反で処罰される。韓国大統領府(青瓦台)の国民請願掲示板などには消防署員を処罰しないよう求める書き込みが相次いでいる。

 今回の事故で消防署員ら救急隊員4人と乗用車の運転者が全治2週間の軽傷を負い、病院に収容された。消防署員は同僚に対し、「できるだけ早く病院に移送したい一心だった。相手の車が見えず避けられなかった」と状況を説明した。事故現場から病院までは3分の距離だったという。ただ、「当時の状況を思い出すのがつらい」として、インタビューは拒否した。消防署関係者は「救急車運転手はトラウマ(精神的外傷)の治療を受ける予定だ」と話した。

 消防署は同日午前10時17分に「食事中におばあさんが突然息をしなくなった」という通報があり、7分後に救急隊が現場に到着。心肺蘇生術、除細動器、心筋収縮剤で26分間にわたり処置したが、脈拍が戻らなかった。午前10時50分、患者を病院に移送するため、救急車が出発し、7分後に事故が起きた。車内で患者に酸素を注入していた隊員2人と助手の救急医療学科の大学生が車の外に弾き出された。

 消防署員の立件、死亡した患者の司法解剖に関する情報が流れると、インターネット上には「遺族が補償を求めている」といううわさが流れた。光州北部消防署によると、遺族は消防署に電話をかけ、「隊員は最善を尽くしてくれた。本当にありがたい」と告げ、抗議や補償要求はなかったという。乗用車の運転者は「本当に申し訳ない。青信号で交差点に進入したが、左折信号を待っていた車のせいで左側から来る救急車が見えなかった」と話した。

 消防署員が処罰されるかどうかは、死亡した患者の司法解剖に委ねられた。救助当時、患者の心拍は停止していたが、病院による死亡宣告は衝突事故から1時間半後の午後0時24分だった。交通事故が死因と特定されれば、消防署員は刑事処分を受けることになる。

クォン・ソンミ記者
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