韓国の「デート暴力」、男性被害者が急増

 8月9日午後11時ごろ、ソウル市内の警察派出所に「飲食店で泥酔した20代の女性がテーブルをひっくり返し、男性に暴力を振るっている」という通報があった。警察が駆けつけて確認した結果、男女は交際関係だった。男性は警察官に「ささいな口論をしていて、女性が突然殴りかかってきた」と説明。女性は「自分が殴られた」と主張したが、警察が防犯カメラの映像を確認した結果、男性が一方的に殴られたことが判明した。

 交際関係にある女性に殴られたと通報した男性は今年、初めて1000人を超える見通しだ。交際関係の男女間で起きる「デート暴力」の被害者は女性が多い。しかし、被害件数の伸びという面では男性の被害者が上回っている。

 警察庁によると、デート暴力事件の女性被害者は2016年の6702人から昨年には8703人へと30%増えた。同じ期間に男性被害者は458人から977人に倍増した。今年1-6月には女性被害者が4427人、男性被害者が650人だった。このまま推移すれば、男性被害者は通年で1000人を超える見通しだ。

 専門家は男性の場合、交際相手の女性に殴られたことを恥ずかしく思い、事実を隠すため、実際には男性の被害者がもっと多いとみている。先月には自称17歳の男子生徒がインターネットの相談掲示板に、「意見が衝突するたびにガールフレンドに目の回りにあざができ、鼻血が出るほど殴られる」と書き込んだ。

 警察によると、デート暴力は大半が恋人同士の口論がきっかけだ。順天郷大犯罪心理学科のチョン・ソクホン教授(韓国警察学会長)は「男性被害者が増えているのは、両性の平等という教育を受けた女性が男性の言葉による暴力に積極的に対抗しているという意味と解釈できる」と述べた。ただ、チョン教授は「女性だからといって、怒りを調節できずに暴力を行使することは認められず、そうした傾向が家庭内暴力にもつながるため、教育やカウンセリングなど積極的は対処が求められる」と指摘した。

クォン・ソンミ記者
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