韓国軍:兵士向け教材から「北朝鮮は主敵」文言削除へ

 韓国国防部(省に相当)が韓国の国防政策について説明する『国防白書』と兵士向けの教育資料『軍精神戦力教育基本教材』(以下、基本教材)から「北朝鮮政権と朝鮮人民軍はわれわれの敵」という文言を削除する方向で検討していることが22日までに分かった。

 北朝鮮の核・ミサイルや在来兵器の脅威がこれまでと何も変わっていない今の状況で、韓国軍の対外向けと内部向けの双方の文書から「北朝鮮は敵」という表現や論理が消え去ることになる。韓米合同軍事演習の中止などにより北朝鮮の脅威に対する備えが弱体化していることに加え、今度は兵士たちの精神面も武装解除されるとの懸念が広がっている。

 複数の韓国政府筋がこの日明らかにしたところによると、国防部は今年の後半に発行する『国防白書』(2018年度版)において「北朝鮮政権と朝鮮人民軍はわれわれの敵」という文言を削除する方向で検討中だという。

 国防部のある関係者は「北朝鮮は大韓民国にとって軍事的脅威ではあるが、一方で共に平和と繁栄を築き上げるべき相手という二重の側面がある」とした上で「国防白書における北朝鮮に関する記載は十分に検討した上で決めたい」と説明した。

 国防部はさらに、5年ごとに発行する兵士たちの精神教育のための基本教材を今年改訂する予定だが、今回の改訂では北朝鮮について「現存する脅威の実体であり、われわれの明らかな敵」という部分を削除する方針だ。この基本教材はこれまで18章から構成されていたが、今回から12章へと大幅に分量が減るという。具体的には「大韓民国の脅威となっている従北勢力」などの記載がある「思想戦で勝利する道」という章は全て削除され、「親北勢力」「主体思想派」などの言葉も使われなくなる見通しだ。

チョン・ヒョンソク記者
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