【コラム】自縄自縛の文在寅外交

 文在寅政権は、自らこのカードを破り捨てた。「8・15建国」は依然として「韓国の正統性を否定する間抜けな主張」だと考えているらしい。大統領は、「積弊集団」の理念をたたき壊す「歴史を正す行為」だと自評するだろうが、外交の舞台から見れば、自分で自分の足を引っ張っているようなものだ。他国の誰が李承晩と金九(キム・グ)を、朴正煕(パク・チョンヒ)と金大中(キム・デジュン)を分けて考えるというのか。皆同じ韓国の指導者だ。韓国の現政権指導部の歴史観は卑しい。組分けをして、国力を浪費している。8月13日の板門店閣僚級会談で見られた南北首脳会談の日取りを巡る当惑と混線は、彼らの歴史観が招いた結果だ。これを改めなければ、北朝鮮に引きずられた上、最後には捨てられるだろう。

 政権指導部の中心には、韓国の歴史を誤って学んだ人物が多い。韓国が高度成長を成し遂げて経済大国の列に加わろうとしていたとき、この国は「国家独占資本主義なのか、新植民地半封建社会なのか」を巡って夜通し論争をしていた人々だ。「間抜け」とはこういうことをいう。韓国は親日派ではなく、愛国志士が建設した。世界の新生国家の中では最も早く土地改革を成し遂げ、革新的な企業と愛国的な官僚が国を育て、旧帝国主義国を最も賢く活用して経済自立を達成した。新生国家の中で、韓国ほど産業化を基盤に民主主義を安定して定着させた国はない。

 こうした成功は、70年前の8月15日に建国された大韓民国が、政治システムに自由民主主義、経済システムに市場主義と国際主義、外交と安全保障に韓米同盟を選んだから可能だった。きちんと勉強すれば、中学生でもこの事実を理解する。韓国の現政権が北朝鮮向けにバラマキをしようと焦ってもできない理由、これもまた70年前に建国の英雄たちが設計したシステムを超えることができないからだ。

 国の歴史に対する知識と愛情なしに、外交をしてはならない。そんなことをしても、ホームレスのように世界の舞台をさまようだけだ。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)社会部長

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