【コラム】時機を逸すると災厄がやって来る

【コラム】時機を逸すると災厄がやって来る

 政策転換の時期を逸し、凄惨(せいさん)な結果を招いた明瞭な事例がある。日本が20世紀に侵略戦争(日中戦争・太平洋戦争)を起こす中で死んでいった日本人はおよそ310万人。このうち91%は1944年以降に死亡した。およそ1年、それだけでも早く戦争をやめていたら281万人が生き伸びることができた。

 また、このうち軍人の死者は230万人だ。大部分は戦死ではなかった。61%に当たる140万人が餓えて死んだ。正確には、餓死または栄養失調による病死だった。戦線が伸びて補給が難しくなり、極度の食糧不足に苦しんだ。自ら命を絶つ兵士が続出した。「処置」と称して負傷兵を殺すこともしばしばあった。硫黄島の戦いの生存者はこう証言している。「戦死は30%くらい。残りの70%のうち6割は自殺、2割が他殺・事故死だった」。

 昨年末に日本で出版された研究に基づく本『日本軍兵士』は、悲惨な状態に置かれた日本軍兵士の現実を細かく記述している。今年4月に大阪へ出張した際、蔦屋書店で買ったが、出版からわずか3カ月で6刷を記録していた。朝日新聞は6月23日付で「売れている本(ベストセラー)」として紹介した。著者の吉田裕・一橋大学教授は「日本軍は勇猛で強かったというような礼賛論が最近よく出ている」と懸念を示し「当時の戦場の凄惨な現実を明らかにすることに重点を置いて本を書いた」と語った。

 韓国の現実を、大日本帝国の侵略戦争の状況になぞらえようというわけではない。ただ、同書の研究方法に注目する必要はある。吉田教授は「兵士の視線と立場から戦場の現実を明らかにしようとした」と語った。実際に戦争という現実に直面する兵士の生活や健康状態といった、「個人の生」に注目したのだ。軍指導部の戦争戦略や軍事理念といったマクロ分析は、現場で苦しむ個人の生には目を向けないからだ。

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