【萬物相】ローマ法王が平壌に行くとすれば

【萬物相】ローマ法王が平壌に行くとすれば

 1991年に北朝鮮外務省にローマ法王の訪問実現を目指す準備チームが発足した。ヨハネ・パウロ二世を平壌に招こうとする動きだった。金日成(キム・イルソン)は東欧が崩壊し、韓国とソ連、中国の国交正常化が進むと、外交的な孤立から脱するためにローマ法王の平壌訪問を企てた。しかし、息子の金正日(キム・ジョンイル)は考えが違った。法王の訪問に伴う後遺症を恐れたようだ。金正日の意向をくんだ北朝鮮の官僚は積極的に動かなかった。2カ月後に外務省の準備チームも解体された。

 光復(日本の植民地支配からの解放)後、北朝鮮には教会57カ所と信者5万2000人がいた。共産化と6・25戦争(朝鮮戦争)を経て、司祭や信者の大半は韓国側に越境したか殉教した。現在の平壌教区は司祭も信者もいない「沈黙の教会」だ。最後の平壌教区長だった洪竜浩(ホン・ヨンホ)司教は1949年、北朝鮮の政権に逮捕され、政治犯収容所で没した。北朝鮮には朝鮮カトリック教協会という団体があり、平壌には長忠聖堂が建ったが、官製協会と偽の信者たちだ。北朝鮮の憲法は信仰の自由を保障しているが、その言葉を信じ、宗教を信仰すれば、命を落としたり、収容所に入れられたりする。北朝鮮では金氏王朝の宗教以外の他の宗教は体制への脅威にすぎない。

 韓国のカトリックは北朝鮮の信者を忘れていない。1975年の金寿煥(キム・スファン)枢機卿をはじめとして、ソウル大教区長が平壌教区長を兼任し、北朝鮮の同胞が信仰の自由を取り戻せるように祈っている。2015年からは北朝鮮地域にかつて存在した教会57カ所のうち1カ所を選び、毎日祈りをささげる活動も展開している。

 金正恩(キム・ジョンウン)委員長は「法王が平壌を訪問するならば、熱烈に歓迎する」と述べたという。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が金正恩に法王招請のアイデアを与えたという。文大統領は近くバチカンを訪問する際、それを法王に伝える予定だ。フランシスコ法王は3年前、キューバを訪問した。ヨハネ・パウロ二世は1979年、共産政権下のポーランドを訪問し、ヴァウェンサ(ワレサ)氏が率いる自由労働運動を芽生えさせた。法王のポーランド訪問が東欧の共産圏崩壊の合図になった格好だ。

 フランシスコ法王が平壌を訪れるとすれば、それは歓迎すべきことだ。金正恩は国家のイメージを変え、国際的孤立から脱するために法王を招くというアイデアに応じたはずだ。多くの市民を動員し、偽の信者で大規模なショーを演出するかもしれない。しかし、そうしてでも北朝鮮に「愛」と「信仰」の空気が広がるとすれば望ましいことだ。北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は「北朝鮮住民が本当に神を信じるようになれば、どんなことが起きるか分からない」と語った。ある歴史的変化はそうやって生まれたのだ。

金基哲(キム・ギチョル)論説委員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】ローマ法王が平壌に行くとすれば

right

関連ニュース