「兄弟福祉院」事件、韓国検察総長が涙の謝罪

「兄弟福祉院」事件、韓国検察総長が涙の謝罪

 韓国検察の文武一(ムン・ムイル)検察総長が27日、兄弟福祉院事件の被害者と対面し「人権侵害の実情をきちんと究明できなかった」として謝罪した。兄弟福祉院は、ホームレス救済の名目で1975年から12年間、釜山で運営されてきた保護施設だ。当時韓国政府は内務部(省に相当。以下同じ)の訓令を定め、ホームレスと目された人々をここへ強制収容したが、強制労役や暴力など人権じゅうりんの実態が明らかになった。87年に施設が閉鎖されるまで、ここで死亡した人だけでも513人に達した。兄弟福祉院の院長だったパク・イングン氏(2016年死亡)は特殊監禁罪などで起訴されたが、裁判所は横領容疑でのみ有罪として、懲役2年6カ月を言い渡した。特殊監禁の罪については、内務部の訓令に基づいたものであって無罪と判断した。

 文総長は27日、ソウル市汝矣島のイルム・センターで同事件の被害者およそ30人と面会し「被害の事実がきちんと明らかにされず、現在に至るまで不幸な状況が発生している点について深くおわび申し上げる。きょう、この場だけでは足りないだろうが、被害者の方の痛みが回復されることを望む」と語った。文庁長は腰を折って被害者に謝罪し、謝罪発言をしつつ涙を流すこともあった。

 文総長の謝罪は、法務部の傘下にある検察過去史委員会の勧告に基づくもの。兄弟福祉院事件を調査した同委は先月、文総長の謝罪と共に非常上告を勧告した。非常上告とは、確定した刑事判決において裁判官が法を誤って解釈・適用した部分が見つかった場合、検察総長が事件を再度審理してほしいと大法院(最高裁に相当)に申請する制度。文総長は今月20日、同事件を非常上告した。

オム・ボウン記者
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