【萬物相】外科医がいない国・韓国

【萬物相】外科医がいない国・韓国

 韓国の大学病院には、フェロー(fellow)と呼ばれる医師たちがいる。専攻医(レジデント)課程を終え、より専門分野について学ぶため、さらに1-2年をかけ勉強する医師たちだ。ところで最近の大型病院の外科には、専攻医として入ってくる医師がいないため、フェローがあらゆる雑務を一挙に引き受けている。昼は手術と診療をこなし、夜間は当直まで担当する。週80時間勤務制が適用される専攻医と違って、フェローは睡眠不足のため、あくびが絶えない。フェローではなく、「フェル・ノイェ」(ノイェとは奴隷の意)という造語までが誕生しているほどだ。

 「イ・グクチョン・アイロニー」という言葉がある。亜州大学病院でセンター長を務めるイ・グクチョン氏が英雄になればなるほど、若い医師たちは外科医を避けるといった逆説だ。イ・グクチョン・センター長は「ドクターヘリ」に乗り込み、救急患者の生命を救う活躍を見せたことで、英雄となった。しかし、家にも帰れないほどの仕事に追われ、教授室にはカップラーメンの器が積まれている。李舜臣(イ・スンシン)将軍は尊敬しているものの、いざ自分が李舜臣になれるかと言われれば、それはまた別問題、というのが人間の心理だ。

 大学病院の外科、産婦人科、胸部外科などの手術室で、看護師が医師と共にメスを握るようになって久しい。これら看護師は、専門医が行う手術を手助けする。そのため「PA(Physician Assistant、医師補助)」と呼ばれている。外科の専攻医が足りず、10年前から見られるようになった現象だ。医療法上、看護師の職務領域を越えるため、違法とされる恐れがあるものの、こうした看護師はすでに全国に3500人以上も存在するという。専攻医たちは、PAに手術の教育機会を奪われていると不満をあらわにする。

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