【コラム】「嫌悪中毒社会」韓国

 構成員が同じ方向を見るということがないから、お互いの姿ばかり観察するようになる。パイがもっと大きくなるという楽観や期待が消え、限られたパイの大きなかけらを手に入れたいという欲望にばかり関心が注がれる。他人の損害が自分の利益、自分が譲ったらいい目を見るのは他人だけ、というわけだ。嫌悪は低成長時代の陰鬱(いんうつ)な肖像である可能性が高い。

 票のためには国の資産を食いつぶしてもいいという人気迎合主義と、憎悪をたき付けて政権を取ろうろするファシズムの心理も嫌悪をあおっている。欧州で中道系の既成政党が力を失い、極左・極右勢力が猛威を振るっている理由でもある。先進国の利点のみを学べばよいものを、失敗の原因や副作用までそっくりそのまま似つつある格好だ。「われわれが火星からの侵攻の脅威にさらされていることを示し得ないかぎり、ロシア人もまた兄弟だと言っても説得はできない」というラッセルの言葉のように、韓国人は外交的な対立や軍事的な緊張があるときにのみ団結するのかもしれない。嫌悪の感情を洗い流すためには、再びワールドカップの開催でも推進しなければならないところだ。

キム・ソンヒョン世論読者部次長

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