強制徴用の韓国人3人、日本の「被爆者手帳」裁判で勝訴

長崎地裁、証言だけで被爆者認定

 1945年に日本の長崎で原爆の被害を受けた韓国人3人が、日本企業に徴用されていた証拠書類がない状態で、本人の証言だけで被爆者として認定され、日本の当局から医療費や関連手当を受領する道が開かれた。

 日本の長崎地方裁判所は8日、三菱重工業の造船所での作業中に被爆した韓国人徴用者のキム・ソンスさん(93)ら3人が「長崎市が被爆者手帳の申請を却下したのは違法だ」として処分取り消しを求めた訴訟で、原告勝訴の判決を下した。長崎市は「徴用中に被爆した証拠」がないと主張したが、判決は「原告の証言の核心部分は信頼できるもので、証拠がなくても不自然ではない」と認定した。今回の判決が最終的に確定すれば、長崎市は原告に被爆者手帳を交付し、医療費などを支給しなければならない。

 原告3人は2015年、長崎市に被爆者手帳の交付を申請したが、申請を却下されたため、処分取り消しを求めて訴訟を起こした。長崎地方法務局は、三菱重工業が1948年に提出した韓国出身の徴用者3418人の名簿を「保管期限が過ぎた」との理由で1970年に廃棄。日本政府は、徴用者名簿に記載されている韓国人に対しては被爆者手帳を交付したが、名簿が廃棄されて以降は三菱重工業で働いていた韓国人は徴用の証拠を提示できず、被爆者手帳を交付されないケースが多かった。

 原爆が投下されたとき広島と長崎にいた韓国人に対して被爆者手帳が交付されたケースもあるが、行政処分を取り消して交付を命じた判決は今回が初めてだ。現在、被爆者手帳の所持者は計15万4859人で、このうち韓国人は2241人。毎日新聞によると、「在外被爆者支援連絡会」は9日、長崎市に対して控訴しないよう申し入れた。これに対し、長崎市の担当課長は「対応策を協議中で、早急に結論を出したい」と述べた。

 今回の判決が出たことで、類似の訴訟が相次ぐものとみられる。韓国外交部(省に相当)は「原爆被害者、慰安婦、サハリンの強制動員被害者」の3大争点は、1965年の韓日基本合意では解決していないとの立場だ。

東京= 李河遠(イ・ハウォン)特派員
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