【社説】文在寅大統領、粉飾統計で突き進む「経済マイウエー」

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年記者会見で所得主導成長など「経済マイウエー」を明確にした。しかし、マイウエーを進みつつも、その根拠として示す統計や指標が誤っていてはならないのではなかろうか。文大統領は「富の二極化と経済的不平等が世界で最も激しい国になった」と述べた。経済協力開発機構(OECD)の2015年現在の貧富の格差ランキングで、韓国は加盟38カ国のうち23番目に格差が大きかった。ところが、米国、日本、英国、カナダ、イタリアなどは韓国よりも大きな格差があった。文大統領は政権発足後、「家計所得が増えた」と述べた。しかし、所得上位20%の所得増で全体平均は上昇したが、所得下位40%の所得は減少した。貧しい人がさらに貧しくなったことも「実績」なのだろうか。全体の平均所得ですら、税金などを差し引いた実質可処分所得が昨年1-9月に約1%減少した。下位60%の層の実質所得は月平均で12万-18万ウォン(約1万1600-1万7400円)減少した。

 文大統領は「青年の雇用率は過去最高だ」と発言した。15-29歳の雇用率は昨年時点で42.7%だったが、2000-07年には43-45%だった。OECD加盟国の平均は53.3%だ。講義室の消灯といった税金による短期アルバイトを除けばさらに低下するはずだ。青年の体感失業率は22.7%で統計開始以降で最悪だ。文大統領は「フルタイムは増えた」と雇用の質が向上したかのように発言した。フルタイムの労働者は昨年34万人増えたが、06年以降で増加幅が最も低かった。フルタイムには非正社員も含まれるため、それだけで雇用の質が改善したとは言いにくい。昨年には週36時間以上働く就業者が72万人減少したのに対し、週36時間未満の就業者が80万人増えた。安定した仕事が減り、短時間労働が増えたことになる。つまり、雇用の質も悪化したということだ。

 文大統領の会見を見ると、「マクロ経済指標は堅調」「最低賃金引き上げはプラス効果が90%」「製造業に水が満ちてくる」などといったとんでもない認識が変わっていない。ブレーンは会見文を読んだのか疑問だ。所得主導成長は馬車が馬を引っ張るかのように本末転倒の政策なのにもかかわらず、このまま突き進むという。雇用を創出するために税金54兆ウォンをつぎ込んでも、雇用状況が悪化しているのに「マイウエー」だ。マイウエーを進むにせよ、事実と統計を正しく用いるべきだとだけは言いたい。

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