対北制裁:開城工団再開に向け「迂回ルート」を探す韓国政府

 韓国政府が、3年にわたって稼働中断状態になっている開城工業団地の再稼働のため、国際社会の北朝鮮制裁を避ける案を本格的に検討し始めた。韓国政府の関係者は11日、「開城工業団地再開のおおまかな案は既に用意されているが、『条件なき工業団地再開』を示唆した金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の新年の辞をきっかけとして、制裁を迂回する案を具体化する作業に入った」と語った。

 韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官は11日、与党「共に民主党」の韓半島(朝鮮半島)非核化対策特別委員会の招請講演で「現金が流入しない形で開城工業団地問題を解決する方法があるかどうか、研究してみるべきだろう」と語った。開城工業団地再開の障害となっている国連安保理決議(2094号)の「バルクキャッシュ(大量の現金)の北朝鮮持ち込み禁止」条項を回避する案を模索している、という意味とみられる。韓国政府の高官も10日夜、報道陣に対し「開城工業団地再開が可能なためには、バルクキャッシュが(北朝鮮に)行かないやり方を探さないといけないだろう」と語っていた。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、新年の記者会見で「開城工業団地と金剛山観光の再開のため北朝鮮との間で解いておかねばならない課題は、解決されたことになる。残る課題となった国際制裁問題の速やかな解決のため、米国をはじめとする国際社会と協力していきたい」と語った。文大統領の会見をきっかけとして、韓国政府が開城工業団地再開の動きを本格化させたのだ。

 だが開城工業団地と金剛山観光の再開は、現実的に難しいだけでなく、韓米の対立を招きかねないという指摘がある。ある元職の幹部外交官は「2016年2月に開城工業団地の稼働を中断した後、安保理の強硬な北朝鮮決議が5件採択され、今ではバルクキャッシュだけでなく南北経済協力そのものが違法。北が核を放棄しない状態で制裁迂回案探しに没頭するのは、国際制裁の流れとも衝突する」と語った。

 米国の時事週刊誌『タイム』は11日、「文在寅は北朝鮮事業再開のための制裁免除を模索している」という記事で、「文大統領の言及は金正恩の提案に対する象徴的回答と読み取れるが、北朝鮮が核プログラムを完全に廃棄するまで制裁維持を望んでいる米国との関係を害しかねない」と指摘した。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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