安倍首相の施政方針演説から「韓国」消える

北朝鮮に関しては国交正常化への意欲示す

 日本の安倍晋三首相は28日の国会で施政方針演説を行ったが、韓国との関係には全く言及しなかった。「強制徴用賠償判決」や「日本の哨戒機の威嚇飛行」などの懸案をめぐって韓日関係が悪化の一途をたどる中、意図的に言及を避けたものと思われる。日本経済新聞は同日、日本国民の6割が哨戒機問題について「韓国に対し強硬に対応すべき」と答えたとのアンケート結果を報じた。

 「韓国」という言葉が登場したのはわずか1回、北朝鮮との関係改善について述べた時だけだった。安倍首相は「北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す」とした上で「米国や韓国をはじめとする国際社会とも緊密に連携していく」と述べた。さらに「北東アジアを真に安定した平和と繁栄の地にするため、これまでの発想にとらわれない、新しい時代の近隣外交を力強く展開していく」と述べたが、近隣外交の対象である韓国には言及しなかった。

 安倍首相はこれまで、韓日関係の状況に合わせて施政方針演説の内容を少しずつ変えてきた。2017年12月末、韓日慰安婦合意の破棄が取り沙汰されて韓日関係がぎくしゃくすると、翌18年の施政方針演説では米国と中国に相次いで言及した後、韓国については「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とはこれまでの両国間の国際的約束、互いの信頼蓄積の上で、未来志向的に新たな時代の協力関係を深化させていきたい」と述べるにとどめ、韓国軽視ではないかとの見方が広まった。慰安婦合意を念頭に置いて「国際的約束」という表現を用いた上、17年の演説で述べた「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」という表現が18年の演説からは消えた。

 安倍首相は施政方針演説で韓国への言及を避ける代わりに、北朝鮮に言及した。安倍首相は「北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な(日本人)拉致問題の解決に向け、相互不信の殻を破るべき」として、北朝鮮との国交正常化に向けた意欲を強調した。その上で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と直接向き合い、あらゆるチャンスを逃すことなく果敢に行動すると述べた。

 安倍首相が今年の演説で言及した北朝鮮関連の内容は、北朝鮮の核・ミサイル挑発とその対応に重点を置いた昨年の演説とも大きく異なる。安倍首相は、昨年「北朝鮮の核・ミサイル開発は今までのどの時点より重大かつ差し迫った危険であり、(日本人の)安全保障環境は戦後最も厳しいといっても過言ではない」として「北朝鮮が完全かつ検証可能で不可逆的な形で核・ミサイルプログラムを廃棄すべき」と述べていた。今回は、2回目の米朝首脳会談の開催が現実味を帯びてきて、膠着(こうちゃく)状態に陥っていた米朝の非核化交渉が再開されるムードになってきたため、これを反映したものと分析される。

パク・スヒョン記者
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