【社説】寧辺核施設の永久廃棄、ウラン施設もこれに含めよ

 昨年9月に行われた文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との南北首脳会談の際、金正恩氏は「米国が相応の措置を提示すれば、寧辺の核施設を永久廃棄する用意がある」と述べた。そのため米国は今月27-28日に開催予定の2回目の米朝首脳会談で、寧辺核施設廃棄という具体的な約束を北朝鮮から確保することを一次的な目標に設定しているという。しかし問題はこの「寧辺核施設」が何を意味するのか明確でないという点だ。寧辺核施設には390もの建物がある。高濃縮ウランの生産施設もあるようだが、基本はプルトニウムの再処理施設だ。1993年の第1次北核危機の際、米朝交渉の焦点は寧辺のプルトニウム関連施設を凍結し、最終的にこれを廃棄するかどうかが焦点だった。

 ところが北朝鮮は2010年、寧辺を訪問した米国のハッカー博士に2000台の遠心分離機が設置されたウラン濃縮施設を見せ、その時から北核問題の中心はプルトニウムからウランに変わった。この施設では年間40キロのウランを抽出できるようだが、寧辺の原子炉で抽出可能なプルトニウムはわずか5-7キロだ。しかも北朝鮮は寧辺のウラン関連施設全体を当時の2倍以上にまで拡大しているという。また北朝鮮は寧辺以外の別の場所でも最低で1カ所以上のウラン施設を保有しているようだ。北朝鮮が寧辺のウラン施設を外部の関係者に見せたということは、別の極秘施設がすでに完成したことを意味するとも考えられる。プルトニウム関連施設が昔の手作業に例えられるとすれば、濃縮ウラン関連施設は現代式の機械工業に相当する。北朝鮮との核交渉は過去四半世紀にわたり続いてきたが、その間に北朝鮮がウラン濃縮施設を議題として取り上げたことは1回もない。

 北朝鮮に核弾頭が1個でも残っていれば、韓国が置かれた核の人質という立場は何も変わらない。北核廃棄とは寧辺はもちろん、寧辺の外にある極秘施設に散在する高濃縮ウラン生産施設、北朝鮮が確保している核兵器や核関連物質、さらには核兵器を積んで飛ぶミサイルも全て廃棄することを意味する。

 寧辺核施設を全て廃棄するのであれば、これは非核化の第一歩としてそれなりの意味はあるだろう。しかしすでにくず鉄同然となった原子炉一つを廃棄したからといって見返りを与えるようになれば、これもまた新たな詐欺という批判を免れないはずだ。

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