大韓民国在郷軍人会「金元鳳が独立有功者なら金日成にも叙勲せよ」

 国家報勲処が国立墓地への埋葬対象から韓国の軍人の一部を除外し、北朝鮮の政権樹立功労者である金元鳳(キム・ウォンボン)を独立有功者として叙勲しようとしていることを受け、7日に報勲諸団体および政界が一斉に反発した。一部からは「報勲処による専横」という声も上がっている。

 大韓民国在郷軍人会(郷軍)は7日に声明を発表し「報勲処は自由民主主義体制の守護と憲法的価値を尊重すべき。大韓民国の建国過程で祖国の自主独立のため貢献した先烈や、自由民主主義体制守護のために命を懸け血を流して戦った国軍将兵の犠牲がなければ、こんにちの韓国はあり得ない。彼らの崇高な犠牲と価値を損なってはならない」と表明した。さらに郷軍は「歴代政権は国家報勲基本法に基づき、毎年報勲対象者を発掘して審議・選定し、格に合った待遇を行ってきた。ところが最近、報勲対象者の審議結果を巡って国民的論争が多い。とりわけ、いかに独立運動に参加したといっても、北朝鮮の政権樹立に寄与した人物は国家有功者になってはならない」と主張した。

 保守系野党「自由韓国党」のナ・ギョンウォン院内代表は「北朝鮮政権発足の功臣に叙勲したいというのは、国民の共感を得難いだろう。報勲は根本的に、国家に対し功績を挙げた人物をたたえるものであって、現代史の人物を不用意に評価することは国民の中でも合意に至り難い」とコメントした。

 同党の鄭泰沃(チョン・テオク)議員も声明書を出し「金元鳳は金日成(キム・イルソン)による延安派粛清の際、悲惨な最期を遂げたが、6・25(朝鮮戦争)後には南派間諜(かんちょう)=韓国に派遣されたスパイ=の派遣も行った明白な6・25戦犯。北朝鮮政権樹立に加担したり6・25戦犯活動を行ったりしたにもかかわらず、関係ないといって独立有功者として叙勲するのであれば、金日成に独立勲章を与えて子孫の金正恩(キム・ジョンウン)に年金を与えるべきだろう」と指摘した。

 同じく野党「正しい未来党」のチ・サンウク議員は「一言で表現して『報勲の壟断(ろうだん、利益を独占すること)』。自国に献身した方々を守るのが報勲なのに、逆にその方々を犠牲にした人物を報勲対象に挙げようとしている」「(特に)金元鳳は北朝鮮政権の樹立、維持、発展に多大な功績ある人物で、有功者として叙勲するのは理屈に合わない」と語った。

 論争が大きくなったことを受け、報勲処は関連事案について「国民的コンセンサスの形成が必要な事項」だとして一歩後退した。だが韓国軍内外からは「これまで報勲処の政策はあまりに一方的だった。世論の動向をうかがっても、また政策を押し付けてくるだろう」という声が上がっている。

梁昇植(ヤン・スンシク)記者
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