【コラム】腹心知事の実刑判決に沈黙を守る文在寅大統領

 今回の「金慶洙判決」は野党に同様の作用を与えている。裁判長に魔女狩りのような人身攻撃を浴びせたかと思えば、「三権分立を損ねる」との批判には「けん制とバランスが目的だ」という詭弁を弄(ろう)した。政権与党全体がまるで狂気にとりつかれたような状態だった。梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長(最高裁長官に相当)の下で務めたことがある裁判長が「積弊」なのだとしたら、朴前大統領の下で働き、現在政府で出世した人たちは何だというのか。与党代表は「ろうそくデモで生まれた大統領の選挙に不服を唱えようというのか」と言い、野党は過去の民主党がそうであったように「そんなことは言ってない」とかわした。

 気になるのは民主党の激しい反応が文大統領の意向なのかどうかだ。文大統領が金知事の収監に見せた反応をめぐっては、さまざまな話が聞かれたが、いずれも確認のしようはない。大統領府(青瓦台)が沈黙しているだけになおさら気になる。「不公正な選挙で当選した」という攻撃は当の大統領には我慢ならないものだ。前政権では大統領の憤怒が国政運営に浸透した。野党には目もくれず、妥協的なブレーンや与党政治家を突き放し、「裏切り者」の烙印(らくいん)を押した。政権中枢で強硬派の「純度」が高まり、政権は「独善の泥沼」へと陥った。その結果は致命的だった。

 文大統領支持勢力は「我々は違う」と言う。強固な支持層を信じているからだ。しかし、旧与党セヌリ党が完全に滅んだ16年総選挙の1週間前、朴前大統領の支持率は現在の文大統領とほぼ同じ水準だった。当時のセヌリ党の支持率も最大野党・民主党を大きく上回っていた。コンクリートのような支持率だと自信を抱いていたが、それは数日後にもろくも崩れた。現政権が結末の明らかな道を歩まないためには、まず文大統領が「金慶洙判決」に冷静でなければならない。

崔宰赫(チェ・ジェヒョク)政治部次長

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