【コラム】「386世代が作った世の中」に苦労する韓国の若者たち

【コラム】「386世代が作った世の中」に苦労する韓国の若者たち

 韓国社会で、かつてない対立が起きている。進歩政権と青年の衝突だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する青年層の支持率は、1年で真っ逆さまに落ちた。衝撃的な「成績表」を受け取った政権内部の人間は、20代に向けて厳しい訓戒を下した。女性家族部(省に相当)の「アイドルの外見」論争が原因だという分析も登場した。「誤った教育を受けた、『満たされた世代』の一時的な離脱」くらいに思いたいらしい。だがちょっと待て。1年前、その「誤った教育を受けた」青年層の80%以上が文政権を支持していたのを忘れたのか。

 進歩政権を若者がひどく嫌うというのは怪現象だ。文政権のルーツが、かつての政権よりも青年との接点が多い、いわゆる「386世代」だという点を考慮すると、なおのこと奇妙に思える。386世代とは、この世代が主流としてクローズアップされた1990年代に30代を迎え、80年代に大学へ通った、60年代生まれの世代を指す。20年前、全38回にわたって続いた本紙の「韓国の主力・386世代」企画の第1回を見ると、この世代の特徴がよく表れている。「抑圧的雰囲気の中で大学生活を送ると同時に、6・29(1987年6月29日。民主化を求める『6月抗争』を経て『民主化宣言』が行われた日)やソウル・オリンピック(1988年)などを経験し、民主化・高度成長の達成感も味わった世代だ。80年代後半の物質的豊かさは、世界に向けて足を踏み出す動力になった」。大学時代は大変だったが、卒業後からは「檀君以来最高の成長期」に突入した韓国経済の「蜜の味」を享受して生きて来た、ということを意味する。同シリーズは「386が建設する韓国の未来に期待をかけてみよう」という言葉で締めくくられた。

 それから20年。この世代が作った世の中を、新世紀の主人公らは冷たく評価している。筆者は年初から、20代の青年層を世界へ送るプロジェクト「青年未来探検隊100」を担当し、20代と対面することが多い。そこで386世代に対する思いを尋ねてみた。ある大学生の言葉を引用してみる。「586(50代)ことか。すごく否定的に感じる。幽体離脱話法のジジイ語りが何より嫌い。なぜ大企業に頼るのかと責め立ててくる。ところが当の自分は大企業の役員、という感じ」。また別の青年はこう話す。「あまり苦労していないのでそうなんだろうが、きちんとした職場ばかり探すのではなく、さまざまな選択肢を模索しなさいと。けれど386が作った今の世の中に、どんなすごい選択肢があるというのか」。

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