【社説】「ろうそく革命」を観光資源化、外国人客誘致を図る文大統領

 赤字に苦しみ、裁判所の競売にかけられているホテルが今年第1四半期(1-3月期)に237軒に達し、1年前に比べ1.5倍に増えているという。そのうち22%が江原道の宿泊施設だとのことだ。昨年の平昌冬季五輪時に「雨後の竹の子」のように建てられ、客足がぱたりと止まるや次々と破たんした。今年2月の宿泊業の景況指数は基準値の100を大幅に下回る44に過ぎなかった。これは2015年の中東呼吸器症候群(MERS)発生時以降で最も低い数値だ。

 その一方で韓国人の海外旅行がブームになっている。昨年の韓国人出国者数は2869万人であるのに対し、韓国を訪れた外国人観光客は1534万人だった。韓国の人口は5100万人だが、昨年日本に行った韓国人の延べ人数は754万人だ。昨年、韓国人が海外で使った金は284億ドル(約3兆1655億円)で、観光赤字は132億ドル(約1兆4714億円)に達する。

 このため政府は観光戦略会議を開き、2022年までに外国人観光客を2300万人に増やすと決めた。そうすべきだろう。ところが、実態とはかけ離れた口先だけの言葉だという印象は消せない。観光スポットもグルメも乏しい国なのに、観光シーズンになると必ずと言っていいほどぼったくり料金がひどくなる。最近の若者たちは国内旅行をする金額で格安航空会社の飛行機に乗って日本だけでなく台湾・ベトナム・タイなどに行く。国内旅行よりも満足度がはるかに高いからだ。観光スポットやグルメといった観光インフラで、韓国がこれらの国々と比べものになるだろうか。今、世界のほとんどの国で観光客の交通手段は配車サービスアプリ「ウーバー(Uber)」が主流となっているが、韓国にはない。民泊サイト「エアビーアンドビー(Airbnb)」も韓国にはない。

 それなのに、大統領は観光戦略会議で「韓国は観光において非常に良い条件を備えている。特に、ろうそく革命(ろうそくデモ)以降の平和的な民主主義を生かした質の高い市民意識に対して(外国人の)好感度が高い」と言った。「所得主導成長」「脱原発」といった大失策も「ろうそく」をうんぬんするこのとんでもない考え方に端を発するものだ。もどかしいことこの上ない。

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