【コラム】科学ではなく信念・理念優先が招いた韓国4大河川せき撤去

 事実よりもイデオロギー、科学よりも信念が優先されるケースは4大河川のせき撤去決定も例外ではなかった。26日に開催された公州せき近くの住民討論会では「必要ならせきの水門を開いたり閉じたりすればよいだけの話だ。なぜせきそのものを撤去するのか」といった質問が相次いだという。洪水が発生したときに水門を開け、干ばつのときは水をためて農業用水として使用するのがせき本来の機能であり、これをその通りやればよいだけの話だ。このあまりにも常識的な話が通用しないのには理由がある。錦江と栄山江に設置された3カ所のせきを撤去する判断を下した「4大河川調査評価委員会」の委員は15人だが、うち7人は環境部(省に相当)の職員だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「早急に4大河川を再自然化せよ」と指示したが、環境部職員という立場ではこれに反対することなどできない。また残り8人の民間委員も5人が環境団体出身、あるいは4大河川事業に反対してきた人物だ。つまり委員会が出す結論など最初から分かり切っていたのだ。

 歪曲や誇張はいつか明らかになる。とりわけ三つのせき撤去という結論を出した経済性評価において、その評価基準やデータを恣意(しい)的に扱った事実は今後問題になるだろう。せきを撤去すれば地下水の水位が低下し、それによって農業への影響が懸念されるが、その範囲について調査評価委員会が「河の両側500メートル」と勝手に限定したのもおかしな話だ。これに対して河川の専門家は全く違った見方を示し「錦江全域と栄山江の一部地域は砂の堆積層が多く、河から5-10キロの地域まで地下水の水位が下がる恐れがある」と指摘している。これが事実であれば地下水対策の費用が新たに必要となるため、せき撤去という結論は完全に変わってくるだろう。

朴恩鎬(パク・ウンホ)論説委員

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