【コラム】韓国の国民年金基金の枯渇と老人嫌悪

 韓国の国民年金公団の職員が年金を受給する高齢者たちを、事故死を装って殺害する。高齢者たちを殺害したのは、国民年金公団年金理事傘下の基金合理化支援室老齢年金タスクフォース所属職員だ。「94歳の高齢女性が122歳の父親を介護する」「地下鉄10両中8両が高齢者専用」「若者たちが80歳以上の高齢者の投票権はく奪を要求する」世界で起こったことだ。これは、昨年出版されたパク・ヒョンソの小説『あなたの老後』で描かれた将来の韓国の姿だ。「最近は若者3人で高齢者7人を扶養している。若者たちが100万ウォン(約10万円)ずつ稼ぐと、お前ら高齢者たちに吸い取られて、だいたい50万ウォン(約5万円)ずつ持って行かれるんだよ」。小説の中の年金理事は、公団が年金を受給している高齢者を殺さざるを得ない理由をこう説明した。

 こうした小説が出版された中、国民年金公団は先日、公式フェイスブックに年金に対する否定的な見通しに反論するかのような資料を掲載した。同公団は「1995年には国民年金が2033年に、2000年には2049年に枯渇するとの見通しがあった」と紹介した。昨年の第4次財政計算では、現行制度を維持した場合、国民年金基金が枯渇する時期は2057年になるとの予測が出た。同公団は「(基金枯渇に対する懸念から)保険料納付を避けるようになり、現在国民年金を受け取れなかったり、年金額が少なくなったりして後悔する人もいる」と書いた。 「どうせ将来の状況は変わっていくし、基金枯渇の時期も遅くなる傾向がある」という楽観論を伝えたかったようだ。

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  • ▲社会政策部=洪準基(ホン・ジュンギ)記者

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