韓国の国策シンクタンク、財政出動に待った

■生産性改善しなければ、1%台成長に転落

 KDIは成長率が低下する基本的な理由も政府の財政支出が足りないからではなく、古い経済システムで生産性が低下したためだと結論づけた。過去30年間の成長率を分析すると、韓国の実質経済成長率は1990年代に7%、2000年代に4.4%、2010年代に3%と徐々に低下したが、同じ期間に全要素生産性の寄与度は2%、1.6%、0.7%と低下した。全要素生産性の寄与度低下は、経済システム全般の効率性がますます低下していることを意味するが、そうした生産性の低下が経済成長鈍化の主因だとの見方だ。KDIはそれを土台として、最近の韓国の経済成長率鈍化が世界的な金融危機以降の海外の需要低迷という一時的な景気要因によるものではなく、制度や企業環境など構造的要因によるものだととらえた。リポートは生産性が向上せず、現在の水準にとどまると仮定した場合、2020年代(20-29年)の年平均経済成長率は1.7%まで低下すると試算した。

 労働市場の柔軟性を高め、構造改革に積極的に取り組むべきとの指摘は、KDIだけでなく、経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)などの国際機関からも示されている。しかし、文在寅政権はそうした制度改革を軽視する一方、財政支出を増やすことに没頭していると言われている。檀国大の金兌基(キム・テギ)教授は「財政拡大で経済成長の低下を防ぐことができないことは、予算規模を拡大してもマイナス成長となった1-3月期の経済成長率で既に証明済みだ。KDIの指摘通り、硬直的な労働市場の改革など構造的な革新に取り組まず、財政だけを拡張するのは、底が抜けたかめに水を注ぐようなものだ」と指摘した。

シン・スジ記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 韓国の国策シンクタンク、財政出動に待った

right

あわせて読みたい