【コラム】外交官の携帯を監察する韓国大統領府の自家撞着

 駐米韓国大使館のK外交官が野党・自由韓国党の姜孝祥(カン・ヒョサン)議員に韓米首脳間の電話会談内容を漏えいさせて大統領府の監察を受けているという。漏えいさせたという対話内容は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ米大統領に対し、5月末の訪日を機に韓国に少しでも立ち寄ってほしい、と言った」というものだ。ところが、大統領府はこれを「根拠のない主張だ」と一蹴(いっしゅう)した。虚偽の事実だということだ。

 しかし、大統領府はその後、外交部(省に相当)職員の携帯電話の通話記録を一つ一つ確認し、大々的な保安調査を行った。「内部情報漏えい者」を見つけ出すためだ。大統領府は同日、「漏えい当事者を確認した」として、姜孝祥議員に対し「機密漏えい」に該当すると言った。国家首脳間の電話会談内容については「3級機密」に該当する。機密を漏えいさせた外交官は処罰や懲戒処分を受ける可能性が高い。だが、大統領府は、漏えい内容については今も「事実無根」だとしている。事実無根の虚偽情報を言ったことがなぜ「機密漏えい」に当たるのだろうか。大統領府の発表自体が自己矛盾だ。大統領府が虚偽だと批判していた野党議員の主張の方がむしろ「事実なのではないか」との心証を与えるばかりだ。

 大統領府はこれまで、自分たちに不利な報道が出ると、とにかく「事実無根」だとまず否定することが多い。そうした後、裏では大統領府や部処(省庁)職員らに対する「携帯電話調査」に乗り出した。現政権発足以降、大統領府の外交部保安調査は15回以上に達するという。2017年末、政府が中国との水面下の交渉を通じて「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)三不原則」を定めたと報道されると、当時の大統領府特別監査班は外交部幹部10人の業務用携帯電話はもちろん、個人の携帯電話まで提出させて調査した。犯罪捜査時に使用される「フォレンジック調査」方式まで動員し、くまなく調べた。漏えいに関する証拠などは出てこなかったが、幹部たちは私生活の面で大変な苦労を強いられた。

政治部=金慶和(キム・ギョンファ)記者
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