日本を揺るがす「老後2000万円問題」…韓国は3300万円不足

■「韓国の老年層、平均73歳まで働く必要」

 韓国と日本でこのように差が出たのは、基本的に老後に受給する年金の額が大きく異なるからだ。日本の老年夫婦の場合、国民年金(韓国の基礎年金に相当)と厚生年金(韓国の国民年金に相当)を合わせて約19万1880円を受給できるが、韓国の老年夫婦は基礎年金40万ウォン、国民年金45万ウォン、合計85万ウォン(約8万5000円)しか受給できない。韓国の国民年金は1988年に導入されたが、日本の厚生年金は1942年に導入された。

 また、日本の厚生年金は保険料率が所得の18.3%だが、韓国の国民年金は1998年以降20年にわたり所得の9%に据え置かれている。日本の保険料率は韓国の倍以上というわけだ。

 ペ教授は「日本の老年層は、各世帯の平均貯蓄額が2484万円となっており、足りない老後資金2000万円を補うことができる」とした上で「韓国の老年層の平均貯蓄額は5371万ウォン(約537万円)で、これを夫婦が共に生存している19年間で切り崩しながら使うと仮定しても3億3000万ウォンほど不足する」と説明した。ペ教授は「今後寿命がもっと長くなることを考えると、韓国の場合は追加で1億-1億5000万ウォン(約1000万-1500万円)、合わせて4億3000万-4億8000万ウォン(約4300万-4800万円)ほど蓄えておく必要があるだろう」と指摘した。

 ペ教授は「これだけ老後への備えが不足していることを考えると、韓国の老年層は70代前半(実質的な引退年齢:男性72.9歳、女性73.1歳)まで労働市場に残らざるを得ない」と説明した。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で高齢労働者の割合が最も高い国になる、というわけだ。

 こうした問題を解決するために、住宅年金(所有住宅を担保に、老後の生活資金を受け取る年金制度)を活性化すべきとペ教授は主張した。住宅年金の平均受給額(2018年基準で月73万ウォン=約7万3000円)を手にする場合、老後資金の不足額3億3000万ウォンを9400万ウォン(約940万円)ほど減らすことができる。しかし、韓国の老年層は家を子どもに譲るという意識が強く、住宅年金への加入者は現時点で6万人程度にとどまっている。

 韓国保健社会研究院のユ・ソクミョン研究委員は「まずは定年延長などによって実質的な国民年金の加入期間を延ばし、死角地帯(年金加入期間が短すぎるなどの理由で年金を受給できない層)を解消していくなど、公的年金の機能を強化する必要がある」として「韓国の老年層は住宅などの不動産を多数所有しているため、住宅・農地年金を活性化し、年金の不足分を補えるよう誘導していくべき」と指摘した。

キム・ミンチョル先任記者
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