「従北」という言葉は名誉毀損に当たらない=韓国最高裁

イム・スギョン氏による損害賠償請求も棄却

 かつて新政治民主連合(現在の与党・共に民主党の前身)の議員だったイム・スギョン氏を「従北のシンボル」と表現したことについて、韓国大法院(最高裁に相当)は「人格権を侵害するほどの人身攻撃には当たらない」とする判断を下した。「国会議員同士による政治的な発言のやりとり」を理由に「人格を冒とくしたとは言えない」という趣旨だ。これに先立ち大法院は今月14日にも、ある番組で旧統合進歩党の李正姫(イ・ジョンヒ)元共同代表を「従北」と表現したジャーナリストに対しても「名誉毀損(きそん)に当たらない」とする判決を下している。

 大法院2部は17日、イム・スギョン氏が旧セヌリ党(現在の野党・自由韓国党の前身)の議員だった朴商銀(パク・サンウン)氏を相手取り損害賠償を求めた裁判の上告審で、「200万ウォン(現在のレートで約18万円、以下同じ)の賠償金支払い」を命じた二審を破棄し、審理をソウル高裁に差し戻した。

 朴氏は2013年7月、仁川市がペンニョン島で開催した停戦60周年の芸術作品展示会にイム氏が出席したことを問題視し「哨戒艦『天安』爆沈で犠牲になった46勇士の霊魂が眠るペンニョン島の美しい海に、従北のシンボルであるイム某国会議員を出席させて行事が行われた」として宋永吉(ソン・ヨンギル)仁川市長(当時)を批判する声明を出した。これに対してイム氏は「政治家として名誉を傷つけられた」として2億ウォン(約1800万円)の損害賠償を求める訴えを起こした。

 一審と二審は「従北のシンボルという言葉は人格権を侵害している」としてイム氏の訴えを認め、朴氏に対して200万ウォンの賠償を命じた。しかし大法院は「朴氏は声明を通じて北朝鮮の軍事的脅威を強調し、イム氏の政治的な考え方を批判したものだ」とした上で「これは悪意のある侮辱的な人身攻撃とは断言できない」との判断を示した。

 この判断は昨年10月の大法院全員合議体での判決を参考にしたものだ。当時、大法院全員合議体は旧統合進歩党の李正姫・元共同代表夫妻が自分たちを「従北」と表現した辺熙宰(ピョン・ヒジェ)氏を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、「政治家に対する従北という表現は、政治的な意見を表現する一つの方法と考えられるため違法ではない」との判断を下している。

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