戒厳文書:韓国軍情報司令部職員、国防長官を提訴

「違法行為と何の関係もない私を規制違反などと言い掛かりをつけ追い出した」

「大統領の指示を実行するための拙速な処分だ」

 韓国軍機務司令部(軍の情報部隊)出身で情報司令部に所属する現職の軍務員が「昨年8月に国防部(省に相当)から下された復帰命令は不当だった」として鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官を訴えていたことが18日までに分かった。機務司は昨年8月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領による「解編」指示により解体され、新たに発足した軍事安保支援司令部がその機能を受け継いでいる。

 今回訴えを起こした軍務員は、いわゆる「機務司戒厳文書」に関係したとの理由で元の隊に復帰した十数人のうちの一人だ。この軍務員は今年4月、ソウル行政裁判所を通じて無効確認請求訴訟を起こし、当時の復帰命令が不当であると主張している。軍務員は「当時の大統領からの指示は、戒厳文書にまつわる違法行為に関係した者を元の隊に復帰させるというもので、違法行為をしなかった者にまで元の隊への復帰を指示するものではなかった」「ところが当時の機務司は内部の規定に反してまで無理な人事を行った」などと主張している。

 機務司は当時、所属する隊員を元の隊に復帰させ、また同年9月1日に安保支援司令部を新たに立ち上げることでも隊員の数を減らした。ところが問題の軍務員を含む戒厳文書の関係者らは機務司が解体される前から元の隊に復帰させられた。復帰とは「元の所属部隊に復帰する」という意味だが、実際は機務司からの放出を意味する。軍務員は「大統領の指示を実行するため機務司は拙速に事件の処理を行った」「対外的に物議を醸したことがその理由だったが、その根拠になるはずの監察は行われなかった」などと主張している。軍務員は「大韓民国によるこの事件の処理によって精神的な苦痛を受け、損害を受けた」「生涯の職場と考えていた機務司から、上官の指示を忠実に実行したという理由だけで、何の問題もないのに申告もできないまま追い出され苦痛を受けた」とも訴えている。

 軍・警合同捜査チームは文大統領の指示に従って戒厳文書の捜査を行った。当時、文大統領は「戒厳令を検討したこと自体があってはならないこと」と指摘し「独立した捜査チーム」の立ち上げと「迅速かつ公正な捜査」を指示した。しかし捜査チームは昨年11月に中間捜査結果を発表した際、戒厳令に関する証拠や陳述は確保できなかったことをすでに明らかにしている。

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