日本との戦いを避け、60万人を餓死させた毛沢東

【新刊】遠藤誉著、パク・サンフ訳『毛沢東 人民の裏切り者』(タイムライン刊)

 日本人として1941年に中国・吉林省で生まれ、そこで12年間暮らした著者は、毛沢東を崇拝する雰囲気の中で子ども時代を過ごした。著者が受けた教育の中には「蒋介石は日中戦争で戦わなかった売国奴」という内容もあった。明白なうそで、事実は正反対だった-と著者は断言する。日中戦争を通して終始日本と死闘を繰り広げていたのは蒋介石の国民党政府で、毛沢東の紅軍は日本との衝突を避けていたのだ。

 日本に対抗して戦うことをしなかったというのも、真実の半分にすぎない。著者は本書で、蒋介石との国共合作を通して国民党政府軍の情報を合法的に共有できた毛沢東が、軍事情報を盗み出して日本軍に渡した証拠を示した。目標はただ一つ。国民党軍を打ち倒し、自分が中国を横取りすることだった。実際、歴史は毛沢東の意図する通りに展開した。日中戦争の間ずっと力をためていた毛沢東の紅軍は、日本との戦いで精魂尽き果てた蒋介石と国民党軍を台湾に追い出し、中国を制覇した。著者は、関連の証拠として、毛沢東のスパイが日本の諜報(ちょうほう)機関と接触してカネを受け取った事実、後に日本の将軍たちを招いて「日本軍の中国進攻に感謝している」と語ったことなどを挙げている。毛沢東は「侵略」という単語の代わりに、進攻という表現を使った。

 著者が毛沢東を中国人民の裏切り者と規定した理由はほかにもある。国共内戦の最中、毛沢東が長春を包囲して、最大60万人にも上る人々を餓死させた歴史に触れた。第2次大戦中にドイツ軍がソ連のレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を封鎖し、数百万の住民を餓死させたが、自国民にこんな蛮行を働いた指導者は歴史上存在しなかった。288ページ、1万5000ウォン(約1370円)。

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