「虚偽情報を理由とするユーチューブ規制は危険」

「虚偽情報を理由とするユーチューブ規制は危険」

 韓国放送学会と韓国心理学会は21日、ソウル市内で「ユーチューブと政治偏向性、そしてジャーナリズムの危機」と題するセミナーを開き、「ユーチューブを通じた虚偽でっち上げ情報の伝達と政治的偏向が深刻化する現象に対策が必要だ」と指摘した。「進歩傾向であるほど、自分の好みに合う情報だけを選択的に取り入れる確証バイアスの現象が深刻だ」との研究結果も示された。

 問題提起を担当した延世大情報大学院のイ・サンウ教授は「ユーチューブのニュースは根拠がない情報の温床であり、ユーチューブのアルゴリズムは特定の観点を目立たせ、政治的偏向性を深める」と分析した。同時にユーチューブが「フィルターを通じない生の声を伝え、情報民主化に寄与している」点は前向きに評価した。法律によるユーチューブ規制については、「虚偽情報を誰がどのように判断するのか」「表現の自由に反しないか」「政府が規制するのが正しいのか」「かなり慎重に検討すべきだ」などといった点を挙げ、「規制を設ける場合、(海外事業者である)ユーチューブに制裁を加えることが難しく、国内業者だけが『逆差別』を受ける懸念が大きい」と指摘した。

 EBS未来教育研究所のチェ・ホンギュ研究委員は「ユーチューブの映像推薦システムは陰謀論的な虚偽情報や刺激的なコンテンツを視聴させようとする」と述べた。主に自分の政治的な指向や態度と一致する情報だけに選択的にさらされるとの指摘だ。チェ委員によると、ユーチューブ利用者420人を対象に実施した研究の結果、「進歩支持者は自分たちの政治的傾向と似たコンテンツを視聴した後、確証バイアスが強化されたことが明らかになった。特に20代の進歩支持者でそうした効果が最も表れた」と発表した。一方、保守の支持者は意義がある確証バイアス現象は認められなかったという。

 専門家は虚偽でっち上げ情報の問題に対するさまざまな解決法を提示した。慶熙大言論情報学科のチェ・スジン教授は「ユーザーの好みに反する方向のコンテンツも勧められるようにユーチューブの推薦システムを改善すべきだ」と述べた。韓国言論振興財団のキム・ウィグン上級研究委員は「一つのメディア内でさまざまな観点の政治的意見を流通させる方式を検討すべきだ」とした。

 ソウル科学技術大IT政策専門大学院のキム・ヒョンギョン教授は「表現の自由は多くの犠牲を経て、憲法に具現された価値だ。今いわゆる『フェイクニュース』を制限しようとして発議された法案は慎重さを欠く。現行法でも既に虚偽情報を規制できる方法は多い」と述べた。

ク・ボンウ記者
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