西海(黄海)北方限界線(NLL)のすぐ近くに浮かぶ島・咸朴島を巡って韓国軍の内外が騒がしい。韓国の住所があるこの島に北朝鮮軍関連の施設が存在している事実が明らかになったからだ。これについて韓国軍は「咸朴島は元々北朝鮮の島で、建設された施設は観測所のようなもの」と説明している。しかし北朝鮮による露骨な敵対行為に対し「韓国軍はただ傍観している」などの批判も相次いでいる。
咸朴島が問題となったのは、この島が登記簿上「仁川広域市江華郡西島面マル島里山97番地」という住所で登録されている事実が今年6月に広く知られるようになってからだ。登記簿謄本には「大韓民国山林庁」がこの島の所有者になっている。韓国国土交通部(省に相当、以下同じ)は公示地価まで発表した。ネット上の多くの地図にも咸朴島はNLLより南側に表示されている。
咸朴島での北朝鮮施設の存在と関連して疑問の声が高まっていることを受け、韓国国防部の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)長官は国会で「咸朴島は明らかに(韓国所有ではなく)NLLの北側にあるのが正しい」「国土交通部の資料にはこの点が間違って記載されている」と証言した。周辺の島の住民らは咸朴島について「韓国の島」と考えているが、国防部は「咸朴島は停戦協定後からずっと北朝鮮の管轄地域だった」と主張している。国土交通部の関係者は「咸朴島を登録島しょから除外できるか、関連する法理を検討中」とコメントした。
一方でたとえ咸朴島が北朝鮮の所有だとしても、この島に北朝鮮の軍事施設が存在している事実については問題提起すべきとの指摘もある。TV朝鮮は8月30日「咸朴島には人共旗(北朝鮮の国旗)が掲揚されており、島の各地には放射砲(多連装ロケット)や海岸砲とみられる怪しい施設も数多くあるようだ」と指摘し「その中の一部海岸砲は開放されているようだ」と報じた。中道系野党・正しい未来党の河泰慶(ハ・テギョン)議員は「咸朴島の海岸砲開放は9・19軍事合意に違反している」とした上で「国防部は北朝鮮に対して直ちに閉鎖を要求すべきだ」と主張した。
これについて韓国の情報当局関係者は「最近、北朝鮮軍の施設が設置されたのは事実」としながらも「海岸砲の施設ではなく、観測施設と判断している」と説明した。国防部も「咸朴島内の軍事施設は9・19軍事合意とは関係のない施設と判断している」とコメントした。