【社説】米国で自動運転車に勝負懸けた現代自動車

 現代自動車グループが20億ドル(約2142億円)を投資、世界最高水準の自動運転技術を持つ米国企業と合弁会社を作り、完全自動運転技術を共同開発することにした。現代自動車はこの合弁法人設立により、グーグル、ゼネラルモーターズ(GM)に続き、自動運転技術分野で世界第3位の水準に飛躍することになった。現代自動車は今回の投資を通じて、2024年までにドライバーの介入なしにシステムがあらゆる状況に合わせて車のスピード・方向をコントロールする第4段階水準の自動運転車を商用化し、2030年に完全自動運転車(無人車)の開発を完了させる計画だ。

 自動運転車は、自動車と人工知能(AI)、情報技術(IT)が結びついた融合型・複合型新産業で、自動運転車の技術開発水準を見れば、その国の第4次産業革命水準が分かると言われるほどだ。各投資銀行では、自動運転車により自動車業界に2030年までで最大2兆8000億ドル(約300兆円)の新たな収益がもたらされるとの見通しを出している。

 世界の自動車業界は、自動運転車市場で先手を打つため、死活を懸けた競争を繰り広げている。これまで現代自動車は「未来カー」の技術競争で遅れを取る一方、内燃エンジン車の市場飽和、強硬な労働組合と高コスト・低生産性による競争力低下、中国完成車メーカーの追撃など、国内外の課題に頭を痛めてきた。国内での自動車産業は製造業生産の14%、雇用の12%を占めている。現代自動車の危機は韓国製造業の危機に飛び火する恐れもある。現代自動車が将来の活路を見いだせないことは、韓国経済の心配の種だった。このため、今回の勝負がターニングポイントになるかもしれない。第4・第5段階自動運転車は電力消耗が激しく、従来の電気自動車モデルでは長距離走行が難しいが、現代自動車の水素自動車技術と組み合わせることにより、自動運転車分野において「ゲーム・チェンジャー」(物事の流れを覆す、新たな可能性を持つ企業)になることもあり得るという。

 これまで韓国の自動運転車研究開発は、二重三重の規制に足を引っ張られてきた。道路交通法では「運転手は人でなければならない」と規定されており、無人自動運転モードをテストできないため自動駐車機能も使えず、車が一列に並んで運行する群集走行実験もできない。このような制約のせいで、世界最高水準の自動運転宅配モデルを開発したソウル大学工学部のスタートアップは、韓国ではなく米国でデモンストレーションをしなければならなかった。現代自動車の今回の投資を契機に、規制廃止に拍車をかけなければならない。国の死活問題だ。

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