【萬物相】北朝鮮への希望思考

【萬物相】北朝鮮への希望思考

 昨年12月、韓国大統領府前に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が初めて会って握手したときの絵が描かれた。その頃、文大統領は海外歴訪に向かう飛行機の中で「金委員長の韓国訪問を巡っては国の世論が分裂することはないと思う」「全ての国民がもろ手を挙げて歓迎すると信じている」と述べた。左翼団体などは金正恩氏を「偉人」と賞賛し始めた。「近いうちに韓国を訪問する」と語った金正恩氏の約束は9月に実現すると信じていたのだろう。ところが金正恩氏は動かなかった。

 今年2月にベトナムで行われた2回目の米朝首脳会談が決裂する30分前まで、韓国大統領府は「文大統領はスタッフたちと共に(米朝による)署名式を見守った上で声明を発表する」と説明していた。会談の成功を見越した上で、南北経済協力の拡大に備えるため安保室次長を通商専門家に交代させていた。会談会場ではすでに交渉が決裂していたが、韓国のテレビ局各社は「ばら色南北ショー」の妄想を膨らませていた。何かを強く求めるため「現実」に正面から向き合えない状態を「希望思考に陥った」と言う。今の政府による対北屈従はまさにこの希望思考に陥った結果だ。

 米朝首脳会談が決裂したことで北朝鮮の態度は大きく変わった。金正恩氏は文大統領に向かって「差し出がましい仲裁者のふりはやめろ」と侮辱した。その後も「おびえた犬」「ゆでた牛の頭」「ばか」「殴られるようなことはするな」などの暴言が相次いだ。「南朝鮮に送る警告」と言っては弾道ミサイルを10発以上発射した。ところが文大統領はドイツ紙の取材に「韓半島に春が近づいた」と述べ、トランプ大統領と金正恩氏による板門店対話の直後には「敵対関係の事実上の終息が宣言された」と評した。「南北の経済協力によって日本を一気に追い越すことができる」とも語った。現実から顔を背けるどころか、完全に別の世界に生きているような言葉と行動だ。

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】北朝鮮への希望思考

right

関連ニュース