墜落恐れ飛ばせない510億ウォン相当の韓国軍無人偵察機

 韓国が510億ウォン(約45億円)の税金を投じて導入した海洋情報艦の無人偵察機(UAV)の性能が劣り、事実上使い物になっていないとの指摘が出ている。韓国軍は北朝鮮による攻撃の兆候を積極的に探知しなければならないUAVの「故障」を懸念し、頻繁には活用していないという。野党は「数百億ウォン相当の装備が観賞用と化したのか」と批判している。

 自由韓国党の李種明(イ・ジョンミョン)国会議員によると、韓国軍の代表的な対北朝鮮情報資産である艦船「新世紀」「新紀元」に搭載されたUAVはGPS妨害への対処能力が著しく低いか、そうした性能そのものを備えていないことが判明した。新世紀艦のUAVは当初、GPS妨害対応能力が備わっていなかったが、監査院による監査で指摘が相次ぎ、その場しのぎで補完を済ませた。また、新世紀艦のUAVよりも先に導入された新紀元艦のUAVにはGPSは搭載されているが、妨害対応能力はないことが分かった。李議員は「現在の状況ならば、偵察作戦中に北朝鮮によるGPS妨害攻撃を受ければ、墜落するか、母艦への帰還が不可能だ」と述べた。その上、両艦のUAVは海軍の指揮統制体系とも連動しておらず、作戦指揮にかなりの障害があるとも指摘した。新世紀艦のUAVは2003年、新紀元艦のUAVは08年に戦力化が推進された。しかし、事業者選定過程で贈収賄や優遇といった雑音がやまなかった。UAVの運用は海軍、UAVで得た情報は国家情報院がそれぞれ管理する。野党からは「数百億ウォンの税金をつぎ込んだにもかかわらず、結局故障を恐れ、飾っておくしかない『スクラップ』ではないか」と指摘する声がある。海軍は「合同参謀本部、防衛事業庁などと性能改良に取り組んでいく」と説明した。

ウォン・ソンウ記者
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