【社説】ワールドカップ予選は見られず、アフリカ豚コレラには打つ手なし 

 北朝鮮との軍事境界線付近に生息するイノシシについて、韓国政府は銃を使った駆除をついに認めることにした。アフリカ豚コレラがイノシシを通じて北朝鮮から感染した可能性は以前から指摘されてきたが、韓国政府は感染確認から4週間が過ぎてやっとこれを認めたのだ。北朝鮮でアフリカ豚コレラが発生したのであれば「感染経路は北朝鮮から」と考えるのは普通の発想だ。しかし韓国国防部(省に相当、以下同じ)の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)長官は「北朝鮮のイノシシは絶対に入ってくることはできない」と断言していた。ところが国防部は14日に「イノシシ駆除作戦を開始する」と発表した。完全なコメディーだ。韓国政府は北朝鮮に「韓国政府の資金で感染対策を行う」と提案しているが、北朝鮮はこれも無視している。通常は敵対国であっても感染対策などでは協力するものだが、そう考えると北朝鮮はあまりにも非常識と言わざるを得ない。

 今日は平壌でサッカー・ワールドカップ予選の南北対決が行われるが、韓国国民はこれをライブ中継で見ることができない。北朝鮮が韓国の中継スタッフやメディア、サポーターの訪朝を一切説明もないまま認めなかったからだ。そのため韓国国民はテキスト速報でしか試合の様子が分からない。世の中にこんなことがあってもよいのだろうか。それでも韓国統一部は「南北関係の現状とは関係ない」として北朝鮮を擁護している。

 北朝鮮は「韓国から米の支援は受けない」と何度も明言したにもかかわらず、それでも韓国政府は準備を進めている。130万の米袋の準備に8億ウォン(約7300万円)の税金がすでに使われた。ベトナムで行われた2回目の米朝首脳会談が決裂したことで、北朝鮮は開城の南北連絡事務所に担当者を送らなくなったが、それでも韓国からは担当者が出向いて相手をじっと待っている。北朝鮮は文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対して「おじけづいた犬」「ばか」などと侮辱を続けているが、韓国政府はこれにも沈黙を守っている。短距離弾道ミサイルに続き潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)による挑発も行われたが、これに対して「安保理決議違反」とはっきり言える政府関係者は誰一人としていない。韓国政府は「2032年にソウルと平壌でオリンピックの共催を」と呼び掛けている。これもサッカー・・ワールドカップのライブ中継さえ見られない国民をいらつかせる的外れの掛け声でしかない。

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