【萬物相】「科学立国」を目指す李鍾煥の執念

 1923年生まれの李理事長は、日帝植民地時代に日本の大学へ留学し、学徒兵として連れて行かれた。ソ連と満州の国境地帯でマイナス46度の極寒の中、凍傷にかかった足で地団太を踏み、国を失った悲しみをかみしめた。彼は、国が滅んだのは科学を知らなかったからだと考えた。彼の科学強国への執念が、ノーベル賞への念願と人材に対する投資へと発展した。李鍾煥財団の奨学生の比率は、科学系列が80%に達する。事実上の科学奨学財団だ。国の生死は科学に懸かっているという考えが込められた。「日本より多くのノーベル賞を取る国になるとき、胸の奥のわだかまりが解けるんじゃないか」と語った。ノーベル賞受賞者の輩出を人生最大の目標に定め、奨学事業を行って来た李理事長が、いっそ「韓国版ノーベル賞」を作りたいという。2022年から毎年5つの分野で、賞金の総額は75億ウォン(約6億9400万円)にもなる。ノーベル賞より賞金が多い。

 科学の目的がノーベル賞ということはあり得ない。ノーベル賞より多くの賞金をかけて、韓国の科学が発展するものでもないだろう。しかし96歳の老実業家の生涯の願いも同然の、「科学立国」という執念には頭が下がる。

姜京希(カン・ギョンヒ)論説委員
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