韓国駐在の外交官ら「北朝鮮漁民追放は韓国政府による人権じゅうりん」

太永浩(テ・ヨンホ)氏が外交官らの批判を伝える

国連人権報告官「今後の対応を検討」

 帰順の意思を示した北朝鮮の漁船乗組員二人を韓国政府が強制的に北朝鮮に送り返した問題で、ソウルに駐在する外交官らの間から「韓国政府による人権じゅうりん」との批判が相次ぐなど、国際社会で懸念が高まっていることが分かった。ソウル市中区のあるホテルで各国の駐韓大使館員らによる朝食会が13日に開催されたが、これに出席した元駐英北朝鮮大使館公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏は「講演のテーマは北朝鮮の核問題だったが、外交官たちの質問は北朝鮮の漁船乗組員追放問題ばかりだった」として会場の雰囲気を伝えた。

 太氏によると、外交官らは「今回の事件は韓国政府が北朝鮮住民に行った最初の人権じゅうりんだ」などの指摘が上がったという。太氏は「外交官らはなぜ韓国でこのようなことが起こるのか、非常に驚いた様子だった」と語る。

 さらに「帰順の意思を伝えた北朝鮮漁船乗組員らを追放したのは国際法にも違反している」「韓国自ら(司法)主権を放棄した」「ソウルの国連北朝鮮人権事務所が帰順の意思を確認すべきだった」などの意見もあったという。また複数の外交官からは今回の強制北送について「香港では犯罪人引き渡しを口実に反中活動家を送還しようとしたため、これによって大規模な抗議行動が起こった。今回はその韓国版になりかねない」などの懸念も出ていたようだ。

 米政府系のラジオ自由アジア(RFA)が13日に報じたところによると、トマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権状況特別報告者は今回の事件について「該当する政府」と接触し「今後の措置」について検討中との考えを表明したという。ある外交筋は「国連は韓国政府に対して懸念を表明し、真相解明を促しているが、北朝鮮当局にも乗組員たちの処刑や拷問の中止を要求するかもしれない」とコメントした。

キム・ミョンソン記者
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