【社説】NLLの鼻先で北が海岸砲挑発、韓国軍は知らなかったのか、隠したのか

北朝鮮が今月23日、西海北方限界線(NLL)付近で海岸砲挑発を行った。これに関連して韓国軍の合同参謀本部は「当時、未詳の音源を捕捉して分析中だったが、25日の北朝鮮メディアの報道を見て海岸砲の射撃と評価した」と発表した。音響感知装置で発射音を確認したが、それが何なのかつかめず、2日間発表できずにいたという話だ。

 韓国軍の説明通りであれば、敵が鼻先で大砲を撃ったのに韓国は挑発をしたのかどうかもきちんと分からず、敵が教えてくれて理解したということだ。23日は延坪島砲撃挑発9周年で、北朝鮮が砲を撃った昌麟島はNLLから北にわずか18キロしか離れていない場所だ。当時、金正恩(キム・ジョンウン)は昌麟島部隊を訪問していた。北朝鮮の軍事的な動きに、平素よりもずっと触角を立てておくべき状況だった。ところが、挑発の兆候を事前に捕捉するどころか、事後も何があったのか分からず右往左往していたとしたら、安全保障には深刻な穴があいていることになる。常に最悪の状況を想定しつつ備えておくべき軍が、「まさか」と思っていたのではないか。

 韓国軍が北の挑発を知りながらも意図的に縮小・隠蔽(いんぺい)したのであれば、さらに深刻な問題だ。先端装備で2日間分析しても分からなかった、という説明は釈然としない。もし隠そうとしていたのなら、その理由は明らかだ。大統領は2カ月前、「北は軍事合意に一度も違反しなかった」とかばい、韓国・ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議で「平和ショー」をやるため金正恩招請に全ての力を注いできた。なのに、その金正恩が招請状をはね付け、肝心の会議開幕直前に自ら軍事合意を破棄してしまうのだから、これをどうにか隠そうとしたのではないか。北が報道しなければ、うやむやにやり過ごされていた可能性が高い。

 北朝鮮住民2人の送還は携帯電話のショートメールがカメラにキャッチされたことで分かり、大統領の金正恩招請親書も北が公開するまで韓国国民は知らずにいた。こんな韓国軍と韓国政府が再び国民から隠そうとしたとしても、大して驚かない。

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