【コラム】芸能人という過酷な職業

 デビューに成功して人気を得たアイドルには「芸能人ストレス」が待っている。まず、いろいろなテレビ番組に呼ばれて出なければならないが、これが並大抵の悩みの種ではない。習ったのはダンスや歌だけなのに、トークで笑わせたり珍しい芸を見せたりしなければならない。そのような番組に出て顔が売れないと、出演料の高いイベントやCM出演のオファーが来ない。視聴率の低い番組でもデビューさせてくれたテレビ局の顔色を見なければならないので断ることもできない。そんなテレビに出てもトークのネタがないから、練習生時代のエピソードや毎日一緒にいるマネージャーの話をするしかない。

 ダンス・歌・トーク番組まで何とかクリアすれば、「マルチタレント」という称号が得られる。これくらいになると、自身をデビューさせてくれた芸能事務所との契約が満了する時期が来る。このころには好きな人もできるし、前の所属事務所が厳しく禁止していたプライベートについても欲が強くなる。そんなこんなで大小のスキャンダルが降ってわく。やってしまったことに対して耐えられないほどの非難や冷笑、悪意のあるデマがインターネット上に広まる。10代半ばから芸能事務所に所属して練習だけしてきて、ある日、スポットライトや拍手喝采(かっさい)を浴びてステージに立つようになった彼らの人生は突然、激しく揺れる。「どうやって生きていけばいいのか」を教えてくれる大人には1人も会えないまま、スマートフォンを手に夜を明かす。

 才能(タレント)を商品としてだけ考えて人格教育に一銭も投資しない芸能事務所、彼らの商品性を視聴率という道具としてだけ使うテレビ局、そうした商品を何の批判もなく消費する視聴者は固く結ばれて輪になっている。この輪を何とか変えなければ、芸能人という過酷な職業に耐えきれず、最悪の選択をするケースが後を断たないだろう。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)論説委員

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