全羅北道・井邑市、120年前の東学革命の遺族に月10万ウォンの手当

市側「観光客誘致などに大きく役立つ…報いるという観点から支給」

一部からは「こういうやり方なら壬辰倭乱の被害者も補償するのか」

 全羅北道井邑市が来年から、東学農民運動参加者の遺族に毎月10万ウォン(現在のレートで約9300円。以下同じ)ずつ手当を支給する。対象は遺族として登録された93人で、年間予算は1億ウォン(約930万円)ほどだ。井邑市は、2004年に制定された特別法に基づき東学の遺族を粘り強く探しており、東学農民革命記念財団では文化体育観光部(省に相当)の委託を受けて遺族審査や関連事業を進めている、

 井邑市は16日、「東学農民革命参与者遺族手当支給に関する条例」を制定し、来年から遺族に毎月10万ウォンの手当を支給することを明らかにした。1894年の東学農民革命発祥地として、参加者の名誉を取り戻し、遺族の福祉を向上させるためだという。支給の対象は、申請日現在で井邑市に住民登録があり、1年以上居住している東学運動参加者の子・孫・ひ孫だ。対象者は居住地の邑・面事務所や洞住民センターに遺族通知書、身分証、通帳を持っていって申請すればいい。市の関係者は「井邑は東学農民革命の中心地として知られ、観光客誘致などで大いに役立ってきた。東学で得た有形無形の利益を遺族と共に分かち合い、報いるという観点から、手当の支給を決定した」と語った。

 井邑市は、遺族100人分の予算1億2000万ウォン(約1120万円)を確保した。このうち、現在までに遺族として登録された93人への手当支給を確定させた。市は今後、追加の調査で判明する遺族に対しては補正予算を組んで手当を支給する予定だ。市の関係者は「遺族には高齢者が多く、2004年からたゆみなく遺族探しを行ってきたので、人員が大きく増えることはないだろう」と語った。

 井邑市の東学農民革命遺族探しは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2004年に「東学農民革命参与者等の名誉回復に関する特別法」が制定されたことで始まった。東学農民革命記念財団は、遺族申請があれば審議委員会を立ち上げ、東学運動参加の日時や当時の職業、参加地域や具体的な内容などを審議する。審議委員会で「東学革命の参加者かどうか」を判断し、最終決定された遺族には通知書を送る。現在までに、韓国各地で計1万1222人が登録されている。

 遺族選定事業に対する否定的な見方も絶えず持ち上がっている。一部には、遺族探し事業を巡り「こうやって古朝鮮までさかのぼっていきそう」「壬辰(じんしん)倭乱(文禄・慶長の役)の被害者、洪景来の乱(1811-12)、亡伊亡所伊の乱(1176-77)、万積の乱(1198)も補償しないといけないのか」といった声もある。

井邑=キム・ジョンヨプ記者
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