「李青天まで生体実験」…日本の蛮行資料示し、米国立衛生研究所を5年間毎週説得

 当時チョ教授は韓国人ならば誰でも知っている731部隊の生体実験が年報に掲載されていないことが受け入れられなかった。チョ教授はそれから周辺の人に聞いて回り、NIHの年報作成担当者を探し出し、「731部隊の蛮行を年報に掲載してもらいたい」という電子メールを送った。しかし、何の反応もなかった。その後、チョ教授の家族は全員で731部隊の資料収集に乗り出した。チョ教授は「公式に問題提起すれば、日本政府や日本に友好的な米国の政治家や科学者に事実を知られ、外交問題に発展しかねないと心配し、家族だけで進めることにした」と説明した。

 チョ教授は2014年10月14日から昨年12月31日まで毎週NIHの年報担当者に電子メールを送り続けた。チョ博士の家族が韓国をはじめ、中国、ロシアに残っている731部隊の生体実験被害者の証言記録や写真など公式資料を集めて添付した。詩人尹東柱に関する日本の資料も収集し、随時電話もかけた。

 しかし、NIHは数年間、無関心と無視を貫いた。チョ博士は「何度も挫折した」と振り返った。NIHが初めて反応を示したのは3年前の17年のこと。チョ博士家族の努力に光が差したようだった。しかし、「ドイツの科学者が極悪非道な研究を戦争捕虜に行い、日本の科学者も中国人捕虜に同様の蛮行を犯した」というたった一行だけだった。チョ教授の家族はその後もNIHに正確な歴史の記録を求め、結局韓国人被害を含め、731部隊が犯した蛮行の全体を年報に載せることに成功した。

李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者
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  • ▲米ペンシルベニア大医学部のチョ・バク教授(写真大)は科学者である兄弟、母親と共に5年を超える努力の末、米国立衛生研究所(NIH)の研究倫理年報に第2次世界大戦当時の日帝による人体実験の蛮行記録を掲載させることに成功した。写真の下部は左から韓医師で研究員の母親パク・インエ氏、医師で研究員の兄チョ・イン氏、ハーバード大医学部教授の弟チョ・ユン氏/チョ・バク氏提供

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