「グーグル税」のとばっちり、サムスン・現代自にもデジタル税課税

 グーグル、ネットフリックスなど巨大IT企業が莫大な収入を上げながら、収入源となった国に税金を支払わない問題を解決するため、国際社会が「デジタル税」の導入で合意した。ところが、検討過程で巨大IT企業だけでなく、製造業にもデジタル税を課税することになり、韓国企業にも火の粉が降り掛かった。韓国政府は「企業が負担する税金の総額は変わらない」と説明しているが、企業はデジタル税の課税範囲拡大による影響を注視している。

 経済協力開発機構(OECD)は1月27-30日にパリで多国籍企業の租税回避防止対策(BEPS=税源浸食と利益移転)に対する包括的履行体制(IF)運営委員会・総会を開き、デジタル税課税の骨格で合意した。まだ具体的には決まっていないが、一定規模以上の多国籍企業が全世界で上げる利益の一部に対し、市場所在国(実際に収入を上げている国)が課税権を行使できるようにすることが柱だ。

■製造業にも課税

 国際的な租税原則上、法人税は固定した事業所がある場所で課税される。IT企業の場合、サーバーの所在地が固定事業所となる。ところが、全世界がネットワークで結ばれ、どこでもデジタルサービスを提供できる巨大IT企業は税金が安い国にサーバーを置き、市場所在国にサーバーを設置せずに事業を展開することで税金を回避してきた。

 これまでデジタル税導入を巡っては、欧州各国が巨大IT企業の多い米国を相手に戦ってきた。フランスが一定規模以上のIT企業へのデジタル税導入を主張すると、米国がそれに反発し、報復関税に言及するなど鋭く対立した。OECDを中心に多国間合意を通じ、問題解決を図ることになったが、米国が製造業にもデジタル税を適用すべきだと主張し、戦線が拡大した。製造業もデジタル環境を利用してマーケティングを行っており、それを利用して利益を上げているというのが米国の論理だ。結局今回の合意に米国の主張が反映され、韓国の製造業もデジタル税の影響を受けることになった。

■検討過程に注目する韓国企業、課税は2-3年後か

 韓国政府は個別の企業が負担する税金の総額は変わらないとしている。企画財政部関係者は「国家間の課税権をどう配分するかの問題だ」とし、「企業が特定の国に支払っていた税金の一部を他国に支払うものだ」と説明した。しかし、サムスン、LG、現代自動車など韓国企業はデジタル税導入を巡る検討過程を注視している。グーグルなど海外の巨大IT企業が支払う税金の一部が韓国に入ってくるが、韓国企業が韓国で支払っていた税金の一部が他国に支払われることになり、税収全体に及ぼす影響も関心事だ。

 運営委は今月開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相会合に今回の合意事項を上程し、年末までにデジタル税の課税最終案を取りまとめる計画だ。ただ最終案がまとまっても、テクニカルな細部事項を決定し、それを各国の法制に反映するまでには時間がかかるため、実際の課税までには2-3年かかるとみられている。

アン・ジュンヒョン記者
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