「大統領の前で言うことか」 親文派、総菜店主の個人情報まで暴露

市場訪問の大統領に「景気がろくでもない」
親文派、個人攻撃し不買運動あおる

 明知大のキム・ヒョンジュン教授は「大統領に対して意見を言う自由も許さないという振る舞いは、民主主義的価値を毀損(きそん)する」として「このような振る舞いは文大統領のイメージにも悪影響を与えるだろう」と述べた。

 Aさんは10年にわたり牙山の温陽温泉市場で野菜を売っていたが、昨年から総菜店を始めた。Aさんは「武漢肺炎のせいもあるだろうが、大統領がいらっしゃった後の1週間はお客さんがさらに減ったようだ」として「数日前からは材料費も賄えないほどさっぱり売れない」と話した。知人に悪質なコメントを見せられて状況を知ったというAさんは「商売にならなくて苦しいと正直に言ったことが、そんなに誤ったことなのか」として「人に会うのが怖い」と話した。

 親文派の支持者たちの行き過ぎた振る舞いは、分野を問わず見られる。最近では、コメディアンのイ・ヨンジンさんが昨年2月の放送で文大統領を「文在寅氏」と呼んだときの画面の写真が拡散され、イさんが攻撃対象となった。あるゲストを「MC界の大統領」と紹介した際に、イさんが「文在寅氏のことをおっしゃっているんですか?」と言う場面だ。親文派の支持者らは「大統領のことを、どうしたら文在寅氏などと呼べるのか」と非難を浴びせ「表現の自由の侵害」をめぐって論議を呼んだ。

 ある映像制作企業は、映画『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞後に文大統領が送った祝電を批判したところ、親文派の支持者らの総攻撃に遭った。企業の代表が「パラサイトが過去1年に制作された世界の全ての映画の中で最も優れた作品だと認められた」という大統領の祝電について「国際映画祭は記録スポーツ競技ではない」と批判したところ「(この会社の製品は)絶対に買わないようにしよう」「潰れろ」などのコメントが相次いだ。先月、釜山高検の庁舎前には「チョ・グク捜査」の指揮中に釜山高検に異動になった検察幹部をあざけるプラカードが掲げられた。「xxx検事の左遷を歓迎します」などと書かれていた。

 反対に、文大統領に友好的な人に対しては「賛辞リレー」で報いた。武漢肺炎が悪影響を及ぼしていた今月12日、ソウル・南大門市場の花屋のオーナー、キムさんは、市場を訪れた文大統領に花束を渡し「大統領がよくやってくださるので心が安らかです」と話した。すると、SNSでは「社長の心は花の香り」という「賛辞」が相次いだ。花屋のホームページには文大統領の支持者からのアクセスが殺到して一時ページがダウンし、20人以上が実際に店を訪れて花を買ったという。キムさんは「大統領への言葉を聞いて感動した、と言って涙を流す人もいた」と話した。

牙山= キム・ソクモ記者
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