【記者手帳】親文派に個人情報暴露された総菜店、問い合わせて訪れる客たち

【記者手帳】親文派に個人情報暴露された総菜店、問い合わせて訪れる客たち

 18日午前に訪れた忠清南道牙山市の温陽温泉伝統市場のとある総菜店は、店主がおらず店員2人が店を守っていた。店主のAさんは出勤することができなかった。9日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が市場を訪問した際、大統領の問い掛けに「(景気が)ろくでもない」と答えたことで、「ムンパ」と呼ばれる文大統領の熱烈な支持勢力が「不敬だ」として攻撃の標的と見なしたからだ。「商売が厳しい」ということを率直に表現したAさんは、インターネットで店の名前や家の住所、携帯電話の番号など個人情報を公開されるという攻撃を受けた。Aさんと大統領の会話が映っている動画のリンクが貼られたSNS(会員制交流サイト)には、人格攻撃性の悪質コメントが相次いだ。

 店に出られないAさんはこの日、本紙の電話取材に対し「悪質コメントのことを考えると眠れなかった」として「人に会うのが怖い」と話した。この日の朝、本紙記者が行った後、無差別の人格攻撃性のコメントが続いていたツイッターのアカウントは非公開に変更された。すでにAさんに消すことのできない傷が残った後だった。

 Aさんに対する応援も続いている。この日午前、店主のいないAさんの総菜店には遠方からの客が次々と訪れた。牙山に隣接する天安から来たという60代の夫婦は「この店があの店か」と尋ねると、チャプチェや漬物などの総菜4種類を購入した。イさん(61)は「店主が大変だと一言言っていたが、それで不買運動をするというニュースを聞いて、わざわざ来た」「社長が出勤したらまた訪れたい」と話して去っていった。牛肉のしょうゆ煮と煮豆を購入したイさん(40)は「写真を見て同じ商店を探し回った。大統領に対して暮らしが苦しいと言うこともできない国なのか」と話した。

 前日はさっぱり売れず、総菜が100点以上余っていたのとは対照的に、この日は午前中に作った総菜が午後2-3時には売り切れた。温陽温泉市場商人会の事務所にも午前から惣菜店について問い合わせる電話が数十件かかってきたという。惣菜店の店員たちは「大田、平沢、ソウルからわざわざ来たという方々が、それぞれ10万ウォン(約9300円)分の総菜を買っていった」と話した。温陽温泉市場商人会のオ・ウンホ会長は「(Aさんを)応援すると言って連絡先や商号を尋ねる方も多かった」と話した。Aさんはこの日午後、遅い時間に店にやって来た。「(大変な事態になっているが)それでも暮らしていかないとね。誰が何と言おうと」

キム・ソクモ社会部記者
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