3月末に送ってくれると言っていた「チョ・グク白書」…まだ入稿もなく食い逃げとの声も

「電話詐欺で4億ウォン失い、その穴埋めに3億ウォン募った」?

 「検察のチョ国(チョ・グク、前法務部長官)殺しの実体を明らかにする白書を作るため、募金を始める」

 今年1月、崔敏姫(チェ・ミンヒ)元議員=共に民主党=が有名ジャーナリスト、キム・オジュン氏のユーチューブ公式チャンネルに出演していった言葉だ。こうして「チョ国白書推進委員会」が設けられた。崔敏姫元議員が執行委員長を、キム・オジュン氏が後援会長兼執筆者を務めた。ホームページには「1月31日までに原稿を作成、3月中に冊子を制作、3月末から出荷」と書いた。その4日後にはチョ国前長官の支持者約8000人が合計3億ウォン(約2700万円)を送金した。そして今、その3月末が迫っている。

 27日の本紙の取材の結果、白書執筆陣10人のうち、前日までに原稿を提出した人は1人もいなかった。崔敏姫元議員は本紙の取材に「筆者の皆さんは忙しい。連絡をしても、原稿を下さると言うが、完成したものは届いていない。入念に見るとおっしゃっているのだから、早く書けと強要することもないではないか」と答えた。

 いわゆる「チョ国守護集会」を主導した「ケサウム(犬のケンカ=醜い争い)国民運動本部」の顧問弁護士であり、「チョ国白書推進委員会参与」を経歴に掲げ、今回の総選挙で共に民主党「京畿道安山檀園乙」選挙区の候補者として戦略公認を受けたキム・ナムグク弁護士も原稿を提出していなかった。

 推進委員長のキム・ミンウン慶熙大学教授は、本が準備すらできていない理由に「総選挙」を挙げた。フェイスブックに「選挙期間中に発行すれば、選挙に影響を与える意図があるとの疑惑を持たれる可能性がある」「総選挙の前に公開して議論になれば、この本の価値は消えるだろう」と書いた。

 講演者たちの間でも疑惑の視線が投げ掛けられている。3万ウォン(約2700円)を送金した大学生のパクさん(25)は「不安だ。推進委員会がチョ国前長官を利用したようで、裏切りを感じる」と言った。特に最近はケサウム国民運動本部がボイスフィッシング(電話詐欺)で4億ウォン(約3600万円)を詐取されたことが明らかになり、その穴を埋めるために3億ウォン(約2700万円)をあわてて集めたではないか、という疑惑も取りざたされている。

 最終的な白書発行日程について、推進委員会側は「いつになるかわからない」と答えた。ソウル市瑞草区のある弁護士は「白書を作るつもりがなかったのに後援金を集めたとしたら詐欺罪に該当する。作る気があったとしても、このお金を別の所に使ったら横領罪で告訴が可能だ」と語った。

イ・ヘイン記者
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